桟橋を再設置 辺野古工事再開、海保が抗議排除


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海上保安庁が警戒を強める中で浮桟橋設置作業を進める作業員ら=11日午前8時46分ごろ、名護市辺野古のキャンプ・シュワブ(仲本文子撮影)

 沖縄防衛局は11日、米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設に伴い、キャンプ・シュワブ沿岸部での作業を約2週間ぶりに再開した。同日午前7時前に台風の接近で一時撤去していた浮桟橋の設置作業を開始し、正午すぎに完了した。

今週中に予定している浮標灯(ブイ)や浮具(フロート)などの設置に向けた準備がほぼ整った。12日以降にブイを設置し、その後、海底ボーリング調査に着手する方針。
 桟橋設置作業の現場海域では海上保安庁のゴムボート10隻や巡視艇2隻などが作業現場を封鎖する形で航行し、抗議のため接近する市民らに「作業上危険だ。これ以上近づかないで」と警告を発するなど抗議活動を事実上排除した。
 浮桟橋設置作業は午前6時45分ごろからクレーン車を出し、開始。浮きブロックを次々とつなげ、50メートル以上の長さの桟橋を沖合に完成させた。
 防衛局は浮桟橋から作業船を出港させ、ブイやフロート設置作業を実施する方針。12日はブイやフロートの設置箇所を確認する作業を行うとみられる。
 海保は午前7時前から海上で警備を開始。市民らの船が出港すると、無線で連絡を取り合ってゴムボートで急行し、海上では初の本格的な退去勧告、注意を行った。海保職員は海上で作業を監視していた市民の船舶に対し「作業場から300メートル以内に近づいたら対処する」と通告していた。
 第11管区海上保安本部の担当者は本紙の取材に対し「300メートルについては法的な根拠はないが、作業船など船が航行する際に、安全に航行するために必要な距離として現場で判断したようだ」と説明した。
 防衛局は県に提出した埋め立て承認申請で、環境保全措置として海上工事の作業時間を「基本的に日の出1時間後から日没1時間前」と明記。11日の日の出は午前6時だったため、午前7時前に作業を開始したことに対して市民団体は「早朝はジュゴンの食事の時間だ」などと批判した。県は「夜間工事で照明をつけるならまだしも、それくらいの時間なら問題がない」との見解を示した上で「防衛局には、環境に十分配慮するよう依頼文を送っている」と述べた。