沖縄製粉に全株無償譲渡の意向 コーラル社再建へ宮古島市


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 【宮古島】宮古島市は29日までに、第三セクターの農産物加工所、コーラル・ベジタブル社(社長・下地敏彦宮古島市長)の全株式900株を、沖縄製粉(那覇市、竹内一郎社長)に無償譲渡する意向を固めた。

同社は累積赤字が約1億1千万円に上る厳しい経営状態が続いており、沖縄製粉の販路や営業力を生かして経営再建を図る考えだ。9月3日に開会する市議会9月定例会に、財産を無償譲渡する議案を提案する。
 市はコーラル社の発行済み株式の67・7%を持つ筆頭株主。旧下地町が1999年に4500万円(1株の額面表示5万円)を出資したが、市は多額の累積赤字などで「株価は現在ゼロ同然」と判断し、無償譲渡とした。実現すれば沖縄製粉が筆頭株主となる。市によると、従業員19人は引き続き働く見込みだ。
 コーラル社は宮古島産アロエベラを原料とした飲料や化粧品などを主に手掛けているが、長年にわたる厳しい経営を受け資金繰りが悪化したほか、人員削減に取り組んできた影響で、営業力低下が課題だった。
 一方、沖縄製粉は昨年10月から宮古島産紫イモのペーストや粉末の海外出荷に乗り出しており、取引は「好調」(同社)という。譲渡が決まったわけではないと前置きした上で「宮古島産農産物の加工はまだ可能性がある」とする。
 市は民間活力を活用するとともに、コーラル社の持つ生産農家とのつながりや加工設備と、沖縄製粉の持つ販路や強い営業力の相乗効果で、経営再建を目指す。