豊年、繁栄願い伝統祭祀 宮古島


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◆「ミャークヅツ」 池間民族が集結 踊り奉納、集落パレード
 【宮古島】宮古島市平良の池間島と同島から分村した市伊良部佐良浜、市平良西原のいわゆる「池間民族」が行う豊年祈願祭「ミャークヅツ」が20日から3日間、行われた。各地で伝統舞踊のクイチャーが踊られるなど、豊漁・豊作と子孫繁栄を祈願した。

 初日の20日、池間島南部の海辺にある水浜広場では、住民らが円陣を描いて「ヒヤサッサ」と掛け声を上げながらクイチャーを奉納した。
 島に住む仲間惇さん(83)は、離れて住む長男幸一さん(56)、次男八十三さん(53)と共に、親子3人でそろって踊った。「とってもうれしい気持ち。息子たちの踊りもうまかった。地域にとっても大切な行事であるミャークヅツを通して島が発展していってほしい」と期待した。
 翌21日は西原地域で正装した男たちが集落内をパレード。炎天下のもと汗だくになりながら数カ所でクイチャーを踊った。また奉納角力も行われ、盛り上がった。
 伊良部佐良浜の前里添と池間添でも大勢がクイチャーを踊った。
 ミャークヅツは旧暦8~9月の甲午(きのえうま)から3日間、地域の人たちが総出で行われる、池間民族最大の行事だ。

◆「ヤーマスプナカ」 子の誕生、地域で祝福 12人の赤ちゃん披露
 【来間島=宮古島】宮古島市の来間島で20、21の両日、子孫繁栄と五穀豊穣(ほうじょう)を祈願する伝統行事のヤーマスプナカが行われた。
 初日は島おこし伝説がある長男「スムリャー」、次男「ウプヤー」、三男「ヤーマスヤー」の三兄弟の家元で、この1年に生まれた子どもを披露する「マスムイ」が行われた。
 各家元では男たちが車座になって神歌「サラピャース」を歌い、神酒を回し飲み祭りを祝った。
 スムリャーでは1歳未満の子ども12人が紹介された。ことし7月に授かった長女・杏樹ちゃんを紹介した狩俣功さん(31)、由衣(25)夫妻は「ヤーマスに参加するのは初めて。自分が小さい時からお世話になったおじい、おばあに自分や子どもの成長を見せられてよかった」と笑顔で語った。
 ムスリャー家主の長間盛史さん(72)は「ことしは久々に10人を超える子どもが紹介できた。子孫繁栄は島の繁栄にもつながる大事な行事。これからもしっかり続けたい」と思いを語った。
 2日目は集落内を踊りながら練り歩くパレードが行われた。
 ヤーマスプナカは旧暦9月の甲午(きのえうま)の日から行われる島最大の行事。

円陣を作ってクイチャーを踊る住民ら=20日、宮古島市の池間島
「五穀豊穣」などと書かれたのぼりを手に集落内を練り歩く男性たち=21日、宮古島市平良西原
子孫繁栄を喜び、この1年に生まれた子どもたちを抱いて踊る住民ら=20日、宮古島市下地の来間島