生活保護基準引き下げ 県内利用者が行政訴訟を提起


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 那覇市に住む生活保護利用者9人が17日、生活保護基準引き下げに伴う減額処分は不当だとして、那覇市を相手に処分の取り消しを求める行政訴訟を那覇地裁に提起した。同様の訴訟は県内で初めてで、全国では8件目という。

 厚労省は2013年、生活扶助基準を見直し、3年間で約670億円の保護費を削減すると告示した。見直しで同年8月から3年間で段階的に平均6・5%、最大10%が削減される。
 原告側の大井琢弁護士は会見で「この金額では、憲法で定められる健康で文化的な最低限度の生活はできない」と指摘した。引き下げの根拠として挙げられた物価下落については「電化製品の価格は下がっているが、利用者らに一番関係する食品などはむしろ上昇している」と批判した。
 利用者の70代の女性は、月額8万1150円から8万円に減額された。「食費を切り詰めているが野菜の価格は高く、この金額で健康を保って暮らすのは難しい。電気代節約のために、夏場にクーラーを使わず熱中症になったこともある」と窮状を訴えた。安里長従司法書士は「生活保護の基準は、最低賃金や就学援助などにも連動する」と話した。
 全国ではこれまでに7県で同様の提訴がされており、今後大阪や北海道など5道府県でも提訴される。

※注:大井琢弁護士の「琢」は旧字体