県内延べ宿泊者4.8%減 観光庁旅行調査


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県の延べ宿泊者数の推移

 観光庁の宿泊旅行統計調査によると、2014年上半期(1~6月、暫定値)の県内の延べ宿泊者数は前年同期比4・8%減の926万8600人泊だったことが21日までに分かった。

都道府県別では東京都、北海道、大阪府などに次ぐ全国6位だった。13年(1~12月)の県内の延べ宿泊者数は前年比33・4%増の2078万人泊で、全国一の伸び率だったが、14年上半期は大幅に後退している。
 伸び率は1~3月が9・8%減(478万7810人泊)で39位に急落し、4~6月は1・3%増(448万790人泊)とプラスに転じたが、26位にとどまった。
 1~3月の減少について観光庁は、悪天候による船便の欠航や修学旅行の利用がなかったなどとの回答が宿泊施設からあったと説明した。
 14年上半期の外国人延べ宿泊者数は、71・7%増の105万1310人と好調に推移した。国別の構成を見ると、1~3月は韓国が31%と最も多く、次いで台湾30%、香港15%、中国11%。4~6月は台湾が27%で1位となり、香港21%、韓国17%、中国15%となった。
 琉球大学の下地芳郎教授は「入域観光客数の伸びも重要だが、延べ宿泊者数や消費単価の数字にも注目し、受け入れがきちんとできているかを議論することが大事だ」と話した。さらに、「リゾート地は天気など外部環境に左右されやすい。沖縄は今後、遊びのためのリゾート地から、リゾートを楽しみながら仕事もするビジネスリゾート地への取り組みを強化しないといけない」と指摘した。
 一方、延べ宿泊者数の伸び率が鈍ったことに対して、県文化観光スポーツ部の湧川盛順部長は「(観光庁)の統計の精度を検証しないといけない。コメントは難しい」と述べた。
 宿泊旅行統計調査は、07年から観光庁が従業者数10人以上の宿泊施設を対象に開始し、10年4月以降、従業者数10人以下の施設も含めて調査している。観光庁が宿泊施設に調査票を配布し、調査対象施設が自ら調査票に記入し返送する。
(呉俐君)

<用語>延べ宿泊者数
 寝具を使用して施設を利用する人で子どもや乳幼児を含む宿泊者の延べ人数。来県した観光客の数である実宿泊者数と区別する。1人の観光客の実宿泊者数は1だが、2泊すれば延べ宿泊者数は2となる。入域観光客数だけでは見えない県内滞在時の消費行動などが反映されるという意味で、観光経済の実態を見る上で重要な指標。