県内倒産の7割「破産」 手続き簡素化で件数増加


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県内倒産件数に占める破産件数の割合の推移

 東京商工リサーチ沖縄支店のまとめで、県内法人企業の倒産件数に占める自己破産の割合が増加している。15年前は1割に満たなかった破産型が、最近では7割にまで増えている。

かつては手形の不渡りによる「取引停止処分」が倒産理由の多くを占めていたが、手形の流通が大幅に減少する中で、倒産形態に変化が出ている。破産手続きが簡易になってきていることや、破産することへの心理的ハードルも低くなっていることが要因とみられる。
 2014年1~10月までの倒産件数は61件で、そのうち破産は70・5%の43件だった。13年(暦年)1年間は79件の倒産件数のうち破産は70・9%の56件。
 商工リサーチが裁判所の決定した破産件数を取りまとめ始めた2000年は、倒産件数139件のうち破産は13・7%に当たる19件だった。01年の破産の割合は8・1%で、03年に26・9%、05年に46・3%、11年に72・0%と割合は増加してきた。
 破産件数自体も00年の19件から01年に10件、03年に32件、05年に37件、11年に59件と増えてきた。
 商工リサーチによると、バブル時代には法人企業の自己破産は1~2件にとどまっていた。15年ほど前にはほとんどが「取引停止処分」で、手形が不渡りになり夜逃げするなどの事例も少なくなかった。
 最近は廃業してから破産申請に至るまでの期間が1年以上などと長期化している。以前は債権者が多く即応が迫られていたが、昨今、債権者は金融機関が中心となり、申請までの時間的余裕が出ているという。
 商工リサーチ沖縄支店によると、司法書士も手続きできるようになり担当する弁護士も増えて、破産手続きの手数料が下がってきたことも破産手続きに拍車を掛けているとみられる。担当者は「かつては会社倒産などしようものなら後ろ指を指され地域に住めないぐらいだったが、最近ではそうではなくなっているようだ」と現状を分析した。(滝本匠)