イゲ氏ハワイ知事当選 「県系人誇り」と笑顔 歓喜の支持者囲まれ


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 【ハワイ=島袋良太】4日(日本時間5日)投開票された米ハワイ州知事選で、県系3世のデービッド・ユタカ・イゲさん(57)が初当選し、米国で県系人の知事が初めて誕生した。ウチナーンチュのハワイ移民開始から114年。移民当初はハワイ社会、日系人社会両方からの差別に直面するなど、苦い時代も経験した県系人。州の「リーダー」となる県系人知事の誕生に、イゲさんの選挙事務所に駆け付けた県系の支持者らは沸き上がり、ウチナーンチュの誇りをかみしめていた。

 周辺から「物静かで演説も苦手だが、賢く真面目な人柄に信頼が厚い」と評されるイゲさん。選挙事務所で午後10時ごろ当確が伝わると、「イゲ」コールに沸く熱気とは対照的に「支えてくれた皆さんの努力が報われた」と丁寧に礼を述べ、ハワイ発展への決意を表明した。報道陣に囲まれる中、沖縄への思いを問われ「沖縄県系人として初めて米国の知事になることを誇りに思う」と笑顔を浮かべた。
 選挙事務所を訪れた県人会組織・ハワイ沖縄連合会のエドワード・クバ元会長(70)。「3世、4世と若くなるにつれ、県系人のアイデンティティーが薄れる中、県系の知事が誕生し、若い人がウチナーンチュであることに誇りを持つのではないか。日本でも早くウチナーンチュの首相が誕生してほしい」と涙を浮かべた。
 陣営のボランティアとして選挙戦を支えてきた県系3世のウェイン・タカミネさん(49)=銀行員=は「ハワイの知事に選ばれたことは、ウチナーンチュだけでなく人種を超えた人々がイゲさんを広く信頼している証拠だ。30年の州議会議員生活の成果だ」と喜んだ。その上で「選挙戦で多くのウチナーンチュに支えられ、イゲさん本人も自身のルーツを再発見したのではないか」とし「全てのハワイ人のためになる、ウチナーンチュの名知事になってほしい」と願いを込めた。

ハワイ州知事への当選が決まり、支持者と喜びをかみしめるデービッド・ユタカ・イゲさん(中央)=現地時間4日午後10時すぎ、ホノルル市内
米国初の“ウチナーンチュ知事”の誕生を喜ぶ県系人ら=現地時間4日夜、ホノルル市内のイゲ氏選挙事務所