第1回泡盛シンポ 認知度向上へ 研究、海外発信を


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 那覇市の県立博物館・美術館で11月30日、琉球泡盛の世界無形文化遺産登録に向けた第1回シンポジウムが開かれた。シンポジウムは、小泉武夫東京農業大学名誉教授が基調講演したほか、パネリストら9人が黒麹(こうじ)菌文化圏での泡盛をはじめとする食文化の素晴らしさを再確認し、世界無形文化遺産登録に向けて泡盛の認知度向上などの課題、官・民が連携して取り組むことの必要性などについて議論を深めた。

 パネルディスカッションで県教育庁文化財課史料編集班の萩尾俊章副参事兼班長は世界遺産登録に向けて「泡盛の起源などを含め、対外的に説明できるようにしていく研究が必要だ」と指摘した。沖縄調理師専門学校の安次富順子校長は「中国の冊封使らとの交流の中で琉球料理が形成されてきた。独自の文化で発展してきた料理文化である」と説明した。
 県酒造組合の玉那覇美佐子会長は「泡盛の出荷量は減少を続けているが、世界遺産登録に向け、県内外から泡盛にもっと興味を持ってもらえるようにしたい」と抱負を述べた。醸造学博士で忠孝酒造製造部研究開発課の熱田和史課長は「世界遺産に登録されると泡盛の需要も増える。海外にも広めていく努力は必要だ」と語った。
 壺屋焼陶器事業組合の島袋常秀理事長は「抱瓶(だちびん)などは世界でも類を見ない形の陶器だ。泡盛が焼き物の世界にも影響を与えた」と話した。2011年ミス沖縄でモデルの崎山一葉さんは「泡盛は10年でかなり改良され、おいしくなった。県内外への売り込み方などの工夫が必要」と指摘した。
 コーディネーターを務めた世界遺産推進委員長で琉球大学の安田正昭名誉教授は「泡盛の歴史や文化のほかに健康性などを広く認知させ、多くの意見を聞きながら官民が連携して登録に向けて取り組んでいきたい」とまとめた。

泡盛の世界産登録に向け議論するパネリストら=11月30日、那覇市の県立博物館・美術館
泡盛を海外に広めていく努力が必要だと主張する忠孝酒造の熱田和史課長(右端)