埋葬人骨、国内最古か サキタリ洞遺跡 9千年以上前


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 【南城】県立博物館・美術館(安里進館長)は11日、南城市玉城前川の観光施設「ガンガラーの谷」内にあるサキタリ洞遺跡で、9千年前以前のものとみられる人骨が見つかったと発表した。

人骨を覆うように石灰岩が置かれていたことなどから、人為的に埋葬されたと考えられ、安里館長は「当時の人々の文化に迫る新たな手掛かりとなる」と話している。人骨が埋葬されたものと断定されれば、国内最古級の埋葬人骨となる可能性がある。
 人骨はサキタリ洞入り口付近の地表下約3メートルから発見された。発見されたのは成人1体の頭部や上腕など主に上半身部分と大腿骨や骨盤など。左腕の上腕と前腕の関節が組み合わさっていた。
 県内では港川人や白保竿根田原(さおねたばる)洞穴人など、約2万年前の旧石器人骨の発掘例があるが、骨格の関節が組み合わさった状態での発見は今回の発見が初で、最古となる。
 埋葬人骨だと断定されれば、県内最古の埋葬人骨とされる名護市大堂原(うふどうばる)貝塚(約7千年前)の人骨を更新し、神奈川県、愛媛県、長野県の遺跡で発見された国内最古の埋葬人骨とされる縄文時代早期(約1万年~7千年前)の人骨と並び、国内最古級となる。
 県立博物館・美術館の山崎真治主任によると、今回発見された人骨は後期旧石器時代(約3万5千年~1万数千年前)のものである可能性もある。
 同館は2009年度から、サキタリ洞遺跡での発掘調査を実施し、ことし2月には国内最古の貝製品などを発見している。今後、人骨を取り出してクリーニング、復元などを行い、来年度以降さらに下層の調査を行う予定。

人骨が発見されたサキタリ洞遺跡