辺野古仮桟橋、来月下旬に 防衛局、県検証待たずに着工


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 政府は米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に向けた作業で、埋め立て予定地の辺野古崎付近に設置する計画の仮設桟橋について、1月下旬にも着工する方向で準備している。翁長雄志知事は埋め立て承認の取り消しや撤回を視野に1月中旬にも検証チームを発足させる考えを示しているが、仮設桟橋の設置に関する岩礁破砕は仲井真前県政が8月に許可しており、沖縄防衛局は新県政の検証作業を待たずに着工する見通し。

 海底ボーリング調査などのために設置する仮設桟橋は、砕石を海底から積み上げて整備する施設で「事実上の埋め立て」(防衛省関係者)工事となる。当初は11月にも着工する予定だったが、衆院選への影響を考慮して延期していた。
 防衛局は仮設桟橋設置作業や同じく中断しているボーリング調査を前に、1月5日にも、調査海域を示すブイ投下に向けた浮桟橋の再設置に入りたい考えだが、準備などで作業の開始は遅れる可能性もある。
 防衛省は2015年度予算で辺野古移設関連費として本年度の倍以上の1500億円を要求している。15年度事業では、埋め立て本体工事として代替施設の外周部の約3割に当たる護岸の整備などの計6件に着手する予定で既に入札手続きを開始しており、2月ごろに受注業者を選定する方針。6月ごろまでの着工を目指している。
 沖縄防衛局は仮設桟橋について「使用後は撤去する」としているが、撤去時期などは明らかにしていない。仮に資材の搬入など埋め立て本体工事にも使用する場合は、公有水面埋立法に基づく設計変更の申請が必要となる可能性もある。
 防衛局は仮設桟橋設置の作業と並行して、大型スパット台船による海底調査にも近く着手したい考え。大型ブイを設置するための作業は1月上旬にも始める方針で、中旬にも海底調査を始める計画だ。
 辺野古移設の阻止を掲げる翁長雄志知事が先に上京した際には、安倍晋三首相や菅義偉官房長官は翁長知事に会わなかったが、菅氏は年明けの沖縄訪問を検討している。翁長知事との会談や、海上作業をめぐるやりとりが焦点になりそうだ。