グスクの街 赤瓦屋根に 浦添前田駅周辺、景観基準案


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 【浦添】浦添市は12月31日までに、2019年開業予定の沖縄都市モノレール「浦添前田駅」周辺の景観形成基準案をまとめた。

浦添グスクやモノレール車窓から赤瓦の街並みが眺望できるようにするなど、浦添前田駅前後の県道38号沿道の8ヘクタールに、建築物のデザインや色彩を統一する外観規制を導入する。4月までに市景観地区条例の原案を固めて住民との意見交換を進め、早ければ15年度末にも都市計画で定める景観地区の指定を目指す。
 計画では前田地域を世界遺産追加登録を目指す浦添グスクを背後に抱えた地区として、モノレール沿線の街並みに統一性・連続性を持たせ、歴史を感じる景観をつくっていく。首里城下の「龍譚(りゅうたん)通り沿線地区」(那覇市)のような整備を想定している。
 浦添市がまとめた景観基準案では(1)赤瓦ぶきの勾配屋根とし、2階以上の建物は県道側の1階部分に赤瓦の軒を設ける(2)外壁色は黄赤~黄の色相で統一し、明度7以上、彩度2以下を範囲とする(3)赤瓦屋根と調和する外観とし、素材に格子や花ブロック、琉球石灰岩などを推奨(4)壁面は県道境界線から0・5メートル以上離し、1階をピロティにする場合は全面開口にしない(5)建築物の高さは18メートルまで―などを盛り込んだ。
 塀や垣根、自動販売機のような工作物も景観を損ねない配置や色彩の条件を設定。赤瓦屋根の設置などに助成金を交付する方向で助成率などを検討していく。
 対象地域には約150人の地権者がいる。建築物の規制は景観地区に指定された後に、新設されたり建て替えられたりする建物から適用される。
 一方、建築物の最高限度を18メートルとする高さ規制は既に導入されている。浦添グスクと同じ高台に位置する為朝岩(ワカリジー)の景観を損ねることがないように規制値を設定。県道拡幅やモノレールの工事に伴う家屋の建て替えが進んでいることから、景観地区とは切り離す形で、昨年9月に高度地区として指定した。

<用語>景観地区
 2005年に施行された景観法により、市街地における良好な景観の形成を目的として、建築物の規模や形態を制限する規制を市町村が都市計画において設けられるようになった。県内では石垣市で3地区(観音堂地区、川平地区、獅子森地区)が景観地区に定められている。

沖縄都市モノレール「浦添前田駅」周辺の景観づくりイメージ模型。左側が浦添グスク、為朝岩方面
景観地区指定を目指すモノレール沿線地区