<金口木舌>初夢は羊のごとく


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 最大9連休となった年末年始の休みも終わる。5日からは仕事始め。年の初めに、どんな夢を抱いていくか。えとの羊にちなんだ言葉を探した

▼中国ではかなり古い時代から羊と付き合ってきたという。家畜としてだけでなく、祭祀(さいし)の供え物にもされる神聖な生き物でもあったとされる。「美」「祥」など羊の入る字は縁起がいい
▼中国の故事には「十羊九牧(じゅうようきゅうぼく)」というものがある。羊10匹に羊飼いが9人は多過ぎる。転じて民に比べ役人が多い、頭でっかちの組織は誰の指示を聞けばいいか分からないという意味。しっかり肝に銘じたい
▼有名なのは「羊(よう)頭(とう)狗(く)肉(にく)」。看板と内容に偽りあり、というのは沖縄に暮らすとよく分かる。恒久的な基地建設が「危険性除去」だとか、集落を取り囲むように新しくヘリコプター着陸帯を造るのが「返還を伴う負担軽減」という類いの言説のことだ。だまされないようにしたい
▼「亡羊補牢(ぼうようほろう)」は羊が逃げた後から柵を補強しても決して手遅れではない、という戒めだ。事が起きた時に諦めるか、辛抱して次なる一手を繰り出せるか。行動することの大切さはどんな状況でも変わらないはずだ
▼最後は勇気ある言葉で締めたい。「群羊(ぐんよう)を駆りて猛虎を攻む」。おとなしい羊も力を合わせれば虎を恐れることはない。非暴力のスクラムこそ沖縄の誇りだ。「オール沖縄」の底力を発揮できる年にしたい。