年代を超えた内容、凝った衣装も注目
1972年にデビューし、最新アルバム『POP CLASSICO』は実に通算37作目。本作は“ユーミン”こと松任谷由実が、2014年7月に東京国際フォーラムで行ったツアー最終公演を収録した2枚組だ。『POP CLASSICO』からの楽曲を中心に、『Hello, my friend』、荒井由実時代の『ひこうき雲』や『卒業写真』もアンコールで披露するなど、年代を超えた内容になっている。
ファッション・ショーのように変化する凝った衣装が目を引く。コスチューム・デザインを担当したのは、篠原ともえ。かつて“シノラー”として注目された、独自の色彩やデザインのセンスをユーミンのステージで発揮している。2枚目に収録されたメーキング映像では、アルバムのアート・ディレクションを担当した森本千絵が「POP CLASSICO」という文字に作品の世界観を表現したという創作の裏話を語っていて興味深い。
他にも、ドラマーやベーシスト、ギタリストといったバンドメンバーについてのユーミンからのコメントやそれぞれのインタビューもまとめられていて、ユーミンを取り巻く現場のアットホームな雰囲気が伝わる。これほど、ていねいに作られた映像作品は昨今あまり見ない。
(ユニバーサル・5741円+税)=小西樹里
(共同通信)
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小西樹里のプロフィ
こにし・じゅり 1977年生まれ。米東海岸で高校・大学時代を過ごす。雑誌編集を経て、2006年よりフリー。音楽、本、映画、演劇、写真、ラジオなど文化系を守備範囲とする一方、国際政治論/動静ウオッチャーでもある。
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