沖縄戦影響で国保財政悪化 県連合会、国に支援要請


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 【東京】県国民健康保険団体連合会の古謝景春理事長(南城市長)、城間俊安理事(南風原町長)らは21日、沖縄戦の影響で前期高齢者(65~74歳)の割合が低いことから前期高齢者交付金が少なく、県内市町村の国保財政が悪化している問題について、首相官邸に菅義偉官房長官を訪ね、財政支援をあらためて要請した。菅氏は「沖縄の特殊事情に配慮するような形で制度を改正していきたい」と対応する意向を示した。ただ具体的な是正措置には言及しなかった。

 県や同連合会は昨年、政府に制度の是正や財政支援を求めているが、2015年度予算案に沖縄に限定した措置がなかったことから、今回再度要請した。
 要請に対し菅氏は、厚生労働省が制度改正に向けて取り組んでいると報告。国保の都道府県移管に伴い、15年度予算では低所得者支援費などとして1700億円を確保していると説明したという。同省によると菅氏は、そのうち沖縄に30億円を配分するとの試算も明らかにした。
 ただ12年度で県内市町村では約100億円の赤字が生じており、県や市町村は現行の前期高齢者財政調整制度とは別に、特殊事情を考慮した制度を求めている。
 要請後、古謝氏は「新たな国保支援策では、沖縄は低所得者が多いので有利になるとのことだったが、(赤字の)補填(ほてん)にならない」と指摘し、独自の制度創設を訴えた。
 一行は塩崎恭久厚労相、山口俊一沖縄担当相ほか自民党の谷垣禎一幹事長にも要請した。昨年8月には仲井真弘多前知事と共に要請している。