合併「良かった」増 うるま・南城・八重瀬3市町調査


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調査を実施した前津栄健教授(前列左端)ゼミに所属する4年生=19日、宜野湾市の沖縄国際大学

 【うるま・八重瀬・南城】宜野湾市の沖縄国際大学地域行政学科の前津栄健教授(行政学)のゼミは19日、4年生が合併市町村の住民に対する意識調査の結果を発表した。

調査対象は2005年4月に合併したうるま市、06年1月に合併した八重瀬町と南城市の3市町。合併に関する住民の「合併して良かった」と答えた割合はそれぞれ48%、61%、71%と10年の調査に比べて増えた。
 調査はおよそ5年ごとに実施。年齢や性別、出身地域のバランスを取り、うるま市100人、八重瀬町69人、南城市60人に実施した。市や町の名称になじみ度、一つの自治体としての実感、首長の出身地域に関する関心や、議員選挙で出身地域が判断基準になるかなどをアンケートで聞いた。
 一方で、合併後の庁舎の分散による不便さや統合庁舎建設後の旧庁舎跡地利用を課題に挙げる声は共通していた。4年生は「合併から数年たち、地域間格差や広域行政の限界、合併直後と比べ細かい課題が見えてきた」と全体を結論付けた。
 うるま市は「一つの自治体としての実感」について「いいえ」と答える割合が、八重瀬町や南城市に比べて高いことから「広域過ぎて地域としての連携が難しいのではないか」とした。
 八重瀬町では「合併して良かったか」との質問で、旧東風平町に比べ旧具志頭村地域で「いいえ」を答える人が多く、商業地域が東風平に立地することを背景とした地域間格差を指摘する声があった。南城市は、他2市町に比べ合併に肯定的な意見が多い傾向にあった。
 調査結果を受けた考察で「住民票をショッピングモールでもらうなど、他の行政サービスの例を参考にする」など打開策が挙がった。
 調査のまとめをした石嶺佳奈恵さん(22)=南城市=は合併後に旧地域を比較する意識が働くことは避けられないとし「住民も行政に歩み寄り、行政に求める代わりに地域に関心を持ってやるべきことをやる必要がある」と話した。
 前津教授は、これまでの講義と調査結果を振り返り「合併前の各地域出身の役所の職員と、住民の意識に違いがある。今後、庁舎の建設や跡地利用でどのように意識が変わるか」と話し、5年後の調査の課題とした。
 住民が、公共施設や商業施設が増えることを「発展」と捉え、地域間格差と感じている傾向を指摘し「どんな地域にしたいか、の共有はもっと必要だ」と合併した行政の課題を語った。