玄米で糖尿病予防 琉大が含有成分の効果初解明


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玄米に含まれるγ―オリザノールが糖尿病の改善・予防に効果があることを明らかにした琉球大学大学院医学研究科の益崎裕章教授(右)と同大学院医学研究科・日本学術振興会特別研究員の小塚智沙代さん=30日、琉球大学医学部

 玄米で糖尿病が予防できる-。琉球大学大学院医学研究科の益崎裕章教授と同大学院医学研究科所属で日本学術振興会特別研究員の小塚智沙代さん(28)らの研究グループは、玄米に豊富に含まれる成分「γ(ガンマ)-オリザノール」にインスリンを分泌する膵臓(すいぞう)の細胞「β(ベータ)細胞」の働きを改善する効果があることを世界で初めて明らかにした。30日、琉球大学医学部で発表した。研究成果の論文は近日中に米国の著名な内分泌学会誌「Endocriniology」に掲載される。

 糖尿病は食べ過ぎや脂質・糖質に偏った食生活によりβ細胞の機能低下などを招き、血糖値を保つのに必要な量のインスリンを産出できなくなった状態。γ-オリザノールを豊富に含むのは玄米に限られるという。
 益崎教授によると、高カロリー食のみを13週間与え続けたマウスはインスリン分泌量が少なくなり、β細胞の死滅も見られた。一方、高カロリー食とγ-オリザノールの両方を摂取させたマウスのβ細胞の機能は正常に保たれた。生活習慣病ではない糖尿病も想定し、化学物質を投与し膵臓を破壊した場合でもγ-オリザノールを与えたマウスのβ細胞の改善が見られたという。
 益崎教授と小塚さんは2012年にも、γ-オリザノールが脳に作用し高脂肪食を摂取する欲求を抑える効果があるという研究成果を発表している。
 益崎教授は「糖尿病が改善される鍵としてかつて沖縄で食べられてきた玄米に着目した。その価値を見直して活用することで、病気の状態改善に貢献できるのではないか」と話した。研究を主導し、γ-オリザノールを使用したサプリメントの開発も進めている小塚さんは「商品化することで、必要な方に早く届くようになってほしい」と語った。