「今までありがとう」 伊良部島民、フェリー廃止惜しむ


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宮古フェリーの「うぷゆう」の最後の航行に、紙テープで別れを惜しむ市民ら=31日午後7時45分ごろ、宮古島市の平良港(花城太撮影)

 【宮古島】伊良部大橋開通に伴い、これまで平良港と佐良浜港をつないでいた宮古フェリー(新垣盛雄社長)とはやて(川平三秀社長)の伊良部航路が31日で廃止された。島民や観光客の行き来を支えた船に感謝しようと、両港には多くの人が訪れた。2社は各2隻を所有するがこの日は宮古フェリーの2隻とはやての1隻が運航した。

 平良港では最終便に合わせて、伊良部島で勤務経験のある教職員らを中心とした「宮古フェリー友の会」(宜保定和代表)が感謝会を開いた。数百人もの人が宮古フェリーの高速船「うぷゆう」が接岸する浮桟橋を埋め、乗客や同社の社員が涙ぐんで別れを惜しんだ。新垣社長は「伊良部航路の事業は終了するが、利用客の皆さまの温かい心の港とは、永遠に通っていくものだと信じている」とあいさつすると、大きな拍手が起こった。伊良部島の佐良浜地区で生まれ育った公務員の本村一平さん(25)は「世話になったので最終便に乗りたいと思った。ありがとうの言葉に尽きる」と目を赤くした。
 午後7時45分ごろ、紙テープが舞い、幸福を願う黄色いハンカチに見送られ、うぷゆうは長い汽笛を残して佐良浜港へと最後の航行に出た。
 伊良部島の佐良浜港では午後7時ごろ、はやての最終便が到着。打ち上げ花火が舞う中、多くの住民が熱烈な拍手で出迎えた。
 業務を終えた船員が船首に並び「皆さん長い間ありがとうございました」と頭を下げると、住民からは「ありがとう」「お疲れさま」とねぎらう声が上がった。仲間房枝さん(61)は「寂しい思いでいっぱい」と話した。
 川平社長は「最終運航に多くの人が集まり、地域に愛されていたことをひしひしと感じた」とかみしめるように語った。

※注:宜保定和代表の「宜」はワカンムリ