キングス、首位復帰 TKbjリーグ第32戦


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 プロバスケットボールTKbjリーグの琉球ゴールデンキングス(西地区3位=26勝5敗)は8日、那覇市民体育館で浜松・東三河フェニックス(同1位=26勝5敗)と第2戦を行い、82―63で勝利、再び首位に浮上した。

キングスは第1戦と同様に浜松のアウトサイドシュートに苦しめられた。第1クオーター(Q)の開始直後に連続で3点弾を沈められ、序盤から追い掛ける展開になった。キングスは岸本隆一がチームを引っ張って接戦に持ち込んだ。第2Qの終盤にリードを広げられたが、ドゥレイロン・バーンズが攻守で活躍して36―37で前半を終えた。第3Qはキブエ・トリムのインサイド、岸本の3点弾と連続で得点して逆転に成功した。第4Qも堅守から攻撃につなげてリードを広げた。浜松の並里祐(美来工科高―中部学院大)は6得点、川満寿史(翔南高―東海大熊本キャンパス)は無得点だった。キングスは14、15の両日、豊見城市の豊崎総合公園市民体育館で大分ヒートデビルズとホーム2連戦を行う。

琉球ゴールデンキングス(27勝5敗)
82―63(18―16,18―21,21―13,25―13)
浜松・東三河フェニックス(26勝6敗)

 【評】後半に勢いを増したキングスが浜松を引き離した。前半は浜松の攻撃に勢いがあり、内外から得点して優位に立った。後半は浜松のシュートが落ち始め、堅守から攻撃のリズムを生み出したキングスが主導権を握った。浜松は序盤のいい流れを維持できなかった。(平安太一)

◆プライド懸けた
 伊佐勉HC(キングス)の話 きょう(8日)負ければホームで2連敗することになるので、選手には男のプライドとキングスのプライドを懸けて勝利しようと話した。この2試合は互いに高いレベルで戦えて楽しかった。次は(プレーオフが行われる)東京で試合をやりたい。

◆完敗でも手応え
 東野智弥HC(浜松)の話 完敗だ。この負けを糧にしてさらに強くなりたい。昨シーズンまで連敗してきたキングスに今シーズンは2勝2敗で分けた。いい自信を手にしたので、ここからレベルアップしたい。

◆バーンズ 攻撃に勢い
 重苦しい雰囲気が立ちこめるホームのコートを、バーンズが駆け回る。7点を追い掛ける第2Q残り約1分。インサイドに切れ込んでボールをねじ込み、ファウルを受けて得たフリースロー2本を確実に沈める。スチールから速攻も決めて、「チームに勢いを与えられた」とうなずく。コートを包んでいた嫌な空気はいつしか消え去っていた。
 キングスにとって我慢の時間が長かった。第1Qの立ち上がりに2本の3点弾を許し、リバウンドを拾えずに浜松の波状攻撃を受けた。「みんながイライラしていた」と伊佐勉HCが言うように、選手の表情から不満の色が消えなかった。
 1点のビハインドで前半を終え、伊佐HCは選手に伝えた。「1点しか負けてない。我慢強く前向きにプレーしよう」。言葉通りにキングスがしぶとく戦い続けると、流れが徐々に傾いた。「チームに必要なプレーを考えた」というバーンズは小菅直人の3点弾をアシストするなど起爆剤となった。
 敗戦による悔しさと快勝で得た手応え。浜松との首位攻防戦で「大切なことを学べた」とバーンズは言う。次に浜松と対戦する可能性があるのはプレーオフだ。その舞台に立つために、バーンズは「残りのシーズンも持っているものをコートに残す」と誓った。(平安太一)

◆並里兄弟、沖縄で初対決
 浜松の並里祐とキングスの並里成の兄弟が生まれ育った沖縄でマッチアップした。2人がプロとして地元で対戦するのは初めて。「絶対に負けたくなかった」と強い気持ちがぶつかり合い、結果は1勝1敗。2人は「次は有明で戦いたい」とプレーオフファイナルズでの対戦を願った。
 兄の祐と弟の成は共にガードで、ゲームを組み立てるのが役割だ。第1戦は祐を含むガード陣がチームをまとめた浜松が勝利し、第2戦は成がアシストや得点でけん引したキングスに軍配が上がった。
 祐は「互いに100パーセントの力でプレーして楽しかった」と充実した表情で語る。成は「(祐に)1点も与えたくなかった」と悔しさもあった様子だが、「これからも兄貴と切磋琢磨(せっさたくま)したい」と笑顔を見せた。

キングス―浜松 第3クオーター、相手守備を切り裂いてリングに向かうドゥレイロン・バーンズ=8日、那覇市民体育館(金良孝矢撮影)
生まれ育った沖縄で初めて対戦する並里成(手前)と祐の兄弟