読谷村の辺野古送迎バス 基地阻止へ村民団結


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村のマイクロバスに乗り込む住民=6日、読谷村役場

団体立ち上げ「進取の精神」
 【読谷】住民による激しい基地返還運動を経て多くの米軍基地返還を実現した読谷村から名護市辺野古で新基地反対運動を続けている人たちに支援の風が吹いた。村で発足した「辺野古新基地建設を阻止する読谷村民会議」は6日、普天間飛行場の移設が計画される同市辺野古へ初めて送迎バスを出した。

村民約30人がキャンプ・シュワブ前の抗議集会に参加。会議の共同代表を務める石嶺伝実村長は「村民は進取の精神を持ち、団結し頑張ってきた。今後もどんどん支援の参加が増えてほしい」と期待を込める。

 辺野古移設に反対する活動団体を行政と住民が共に立ち上げるのは県内初。多くの村民に参加してもらうため、毎週金曜に村役場から辺野古にバスを出す。運転免許を持たないため抗議活動に参加できなかったという三橋雅子さん(79)は「辺野古のニュースを毎日どきどきして見ていたが応援に行けなかった。やっと行ける」と語った。
 「やっと村も車を出してくれる。感激した」と語るのは、辺野古の海上でカヌーに乗って抗議活動を続ける富樫守さん(72)。村民有志15人でつくる「思(うむ)てぃ通(かよ)らな辺野古会」の1人だ。車中でマイクを握り辺野古の現状を説明した。また差し入れやインターネット上の情報発信など「辺野古とつながる100の方法」を紹介した。「必ずしもゲート前で座り込まなくてもいい。いろいろな方法がある」
 村は「やちむんの里」として生まれ変わった不発弾処理場や、村役場がある読谷補助飛行場など多くの米軍基地が返還され、跡地利用が進む。その背景には村民ぐるみの抵抗運動がある。P3C配備計画やパラシュート降下訓練なども村民ぐるみで阻止してきた。
 村内の反基地運動に参加してきた仲宗根盛良村議(65)はゲート前のあいさつで補助飛行場で持ち上がったP3C哨戒機配備計画を村民数百人の抗議活動で阻止したことに触れ、「村民ぐるみの運動がなければ新庁舎もできなかった。今の権力は手ごわいが、辺野古の問題を解決できれば日本は変わる」と語った。
 各自治会はバス運行を知らせるチラシを全戸配布する。村自治会長会の大城輝子会長は「辺野古の問題は県民全体の問題だ。一人でも多くの区民に伝え、意識付けの手伝いができればいい」と語った。
 新聞で読谷村民会議のことを知り参加した松田菊成さん(78)は「沖縄に基地が集中しているのはおかしい。若い人がこれを当たり前だと思ったら大変だ。一人一人が集まって抗議の声を上げていきたい」と話した。