「道標求めて」フォーラム 平和拠点化を提起、沖縄の自己決定権議論


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沖縄の自己決定権確立に向けて識者が活発に提言した「道標求めて」フォーラム=15日午後、宜野湾市の沖縄国際大学

 琉球新報社と沖縄国際大産業総合研究所は15日、宜野湾市の同大で、フォーラム「道標(しるべ)求めて―沖縄の自己決定権を問う」を開いた。

登壇した識者らは1879年の琉球併合(琉球処分)以降の差別や植民地支配、戦争の犠牲など「負の連鎖」を断ち切るために「今こそ自己決定権と平和を唱えるべきだ」「沖縄はアジアの対話・交流拠点になれる」などと主張した。
 姜尚中(カンサンジュン)聖学院大学長は沖縄がアジアの自治体と非武装地帯を宣言することを提起。識者から経済自立に向けたアジアとのビジネス機会の活用や国際的人材の育成などの提言があった。
 「琉球とアジア、主権をめぐって」と題して基調講演した姜氏はアジア各国・地域間で安全保障の枠組みを築けば沖縄の米軍基地の役割は小さくなるとし、そのため「アジアの分断の象徴である朝鮮半島の分断を乗り越える必要がある。朝鮮半島の脱冷戦とアジアの連帯が必要だ」と述べた。
 「歴史の教訓、そして未来へ」をめぐって議論したた第1部では、上村英明恵泉女学園大教授が琉球国が1854年に米国と交わした琉米修好条約などを根拠に琉球併合は「国際法違反」と指摘した。
 姜弘(きょうこう)北京師範大副教授は「東アジアが平和でなければ沖縄は平和でなく、沖縄が平和でなければ東アジアの平和はない」と主張、中国との交流促進を望んだ。
 波平恒男琉球大教授は普天間飛行場の辺野古移設に触れ「今こそ自己決定権や平和の声を発信する時だ」と求めた。
 島袋純琉球大教授は「まずは沖縄の権利章典を作ることが非常に重要だ。それには自己決定権を持つ主体という沖縄の人々の意思が必要」と訴えた。
 第2部の「自己決定権と沖縄経済」では富川盛武沖国大教授がアジアに目を向けた「ビジネスの具体化が始まっている」と紹介した。仲地健同大教授は医療ツーリズムの推進を唱えた。平良朝敬かりゆしグループCEOは「観光インフラ整備を沖縄自身が決め、規制緩和を勝ち取る必要がある」と指摘、岡田良那覇市IT創造館館長は「最先端の技術をいち早く沖縄に移転することが大切」と提言した。
 約600人の聴衆が熱心に耳を傾けた。
英文へ→Seeking a course: forum to discuss self-determination for Okinawa