泡瀬干潟埋め立て訴訟判決 住民の訴え退ける


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第2次泡瀬干潟埋め立て訴訟で原告敗訴の判決が言い渡され、「不当判決」と書かれた紙を示す原告団のメンバー=24日午後1時27分、那覇地方裁判所前

 国と県が進める中城湾港泡瀬地区公有水面埋め立て事業と、埋め立て地を利用した沖縄市の東部海浜開発事業について周辺住民を含む県民が県と市を相手に公金支出の差し止めを求めた第2次泡瀬干潟埋め立て訴訟の判決が24日、那覇地裁(井上直哉裁判長)で言い渡された。

井上裁判長は原告側の請求を退けた。井上裁判長は、埋め立て事業について「実施目的や必要性、経緯、内容や規模、社会的経済的効果の観点からみて妥当性を欠くものとは認められない」として、事業への公金支出は県知事と沖縄市長に認められた裁量権の範囲内にあると判断した。
 訴訟では埋め立てと開発事業について(1)経済的合理性があるか(2)環境保全に十分配慮されているか(3)防災に十分配慮されているか―を主な争点として争われた。原告側は泡瀬干潟の豊かな生物多様性など環境的な価値を強調し、防災面でも津波の襲来によって甚大な被害が出ると指摘した。沖縄市の開発計画について「需要予測が過大に見積もられている」などとして経済的合理性がないと主張していた。
 県と市側は環境保全に配慮した計画であり、防災面ではホテルなどの津波避難施設を活用することで安全を担保できると主張した。需要予測については「むしろ控えめで手堅い値を採用している」と反論していた。
 第1次訴訟は2005年に提訴され、08年11月に那覇地裁が「沖縄市の事業は経済的合理性を欠く」として公金支出の差し止めを命じた。経済的合理性を理由に公共事業を差し止める全国でも例を見ない判決となった。控訴審の福岡高裁那覇支部も09年、一審判決に続いて公金支出差し止めを命じた。沖縄市が計画を変更して事業が再開したことから、住民らが11年7月に第2次訴訟を提起した。
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