辺野古に陸自常駐 恒常的に共同使用 防衛省文書で判明


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 【東京】2012年に防衛省がキャンプ・シュワブやキャンプ・ハンセンなど米軍施設を恒常的に共同使用し、陸上自衛隊員800人前後を常駐させた上で、島しょ地域で紛争が発生した場合に緊急展開させる計画をしていたことが3日、分かった。

普天間飛行場の代替施設として政府が建設を進める辺野古の新基地についての共同使用も念頭に置かれていたとみられ、代替施設に自衛隊が常駐する可能性が明らかになるのは初めて。
 衆院予算委員会で穀田恵二氏(共産)が防衛省の内部資料を元に指摘した。
 政府関係者によると、計画は民主党政権下のもので「現在は検討上にない」としているが、全国の在日米軍施設の共同使用については、現在も政府内で検討が進められており、今後、在沖米軍施設の共同使用が拡大する可能性がある。
 穀田氏が指摘した内部資料は、2012年7月に統合幕僚監部などが作成したとみられる文書で「沖縄本島における恒常的な共同使用に係わる新たな陸上部隊の配置」と題されている。
 文書によると、沖縄本島に常駐する第15旅団の第51普通科連隊(約700人)のほか、宮古島や石垣島などの先島諸島に1個連隊を配備した状態を想定。
 その上で、尖閣諸島や先島での有事を想定し「緊急展開し、初動対処部隊として増援できる最低限1個連隊規模の勢力が必要」とし、キャンプ・シュワブに普通科中隊(約150人前後)、ハンセンに普通科連隊(約600人規模)の緊急展開部隊が常駐すると記載されている。
 シュワブとハンセンの共同使用は、在沖米海兵隊の第31海兵遠征部隊(31MEU)との連携を重視。一方、緊急展開のために新編される部隊について「ハンセン、シュワブに配置する案もあるが、共同使用すべき施設にはこだわらない」としている。
 中谷元・防衛相は3日の衆院予算委員会で、日米で在日米軍施設使用の検討を進めていることを明らかにしたが、シュワブでの共同使用については「(普天間)代替施設での恒常的な使用は考えていない」などと否定した。
 ただ、防衛大綱では「米軍、自衛隊の施設・区域の共同使用の拡大」が明記されており、県内の米軍基地で自衛隊が常駐する可能性も残されている。