県内初、脳死で臓器提供へ 30代男性、きょう摘出


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 日本臓器移植ネットワークは7日、県立中部病院に低酸素脳症で入院していた30代男性が午前5時55分、臓器移植法に基づく脳死と判定されたと発表した。県内医療機関で脳死と判定され、臓器提供が実施されるのは初めて。

 男性は書面で臓器提供の意思を示していなかったが、家族が承諾した。同法施行後、脳死判定は317例目で、本人の意思不明は172例目。
 心臓は東京大学医学部付属病院で50代男性、肺は長崎大学病院で50代男性、肝臓は慶応義塾大学病院で30代男性、膵臓(すいぞう)と片方の腎臓は九州大学病院で50代男性、もう片方の腎臓は中部病院で40代男性にそれぞれ移植する。小腸は医学的理由で断念した。
 移植ネットは脳死と判定された男性の家族による「誰かのためになれば本望です」とのコメントを発表した。中部病院は「亡くなられた患者の冥福を祈るとともに、臓器移植に理解いただいた家族に心から感謝申し上げる」とコメントした。
 脳死判定は1回目が6日午後9時28分に終了。2回目は7日午前5時55分に終了した。摘出手術は8日早朝に中部病院で実施する。
 中部病院では午後10時以降、臓器を摘出する医療チームが病院に駆け付けた。午後11時20分ごろにはキャリーバッグを手にした医療チーム複数人がタクシーで駆け付け、急ぎ足で病院内に入る様子が確認された。