【辺野古問題取材班】沖縄防衛局は12日午前、米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古への新基地建設に向けた海底ボーリング調査を再開した。県知事選や衆院選などへの影響回避で昨年9月に中断して以来、6カ月ぶりの調査再開となった。
翁長雄志知事は前知事の埋め立て承認を検証する間は作業を見合わせるよう防衛省に要請していたが、国は県の意向を無視する形で調査を強行した。
防衛局は午前10時23分、11日に辺野古崎付近の調査地点に移動させた大型のスパット台船1基で掘削作業を開始した。別の台船1基も調査地点に移動させ、周囲を浮具(フロート)や油防止膜(オイルフェンス)などで囲い、掘削に向けた準備を整えた。昨年8~9月にかけて水深の浅い海域7カ所、陸上部分5カ所の計12カ所で調査を終えており、今後水深の深い海域の残り12カ所の掘削調査の実施を予定している。
スパット台船は複数の支柱で固定し、ボーリング調査など海上作業の足場にする船。防衛局は2月21日、水深の深い地点での作業を前に、辺野古沖にボーリング調査の関連資材を搬入していた。防衛局は調査を3月31日までに終える予定にしていたが、期間内での終了は厳しい見通しで、期間を延長する方針だ。
東京に出張中の翁長知事は同日午前11時すぎ、都内で記者団の取材に応じ「第三者委員会による検証作業の間は代替施設建設にかかる調査を見合わせるなどの配慮を申し入れていた中で、ボーリング調査が再開されたことは大変遺憾だ」と憤りを示した。
菅義偉官房長官は調査再開について「一昨年に当時の知事から埋め立て承認をいただいて工事を行っている。埋め立て工事の許可を受けてその準備が整ったから、ただ粛々と開始した」と話し、今後も作業を進める姿勢を示した。