消費増税1年 県内小売り、予想超える回復


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消費税増税による県内各業界への影響

 消費税率が5%から8%に引き上げられてから1日で1年。沖縄県内の大手スーパー3社は、増税直後は駆け込み需要の反動で売上高が落ち込んだが、観光客の増加などで昨年5~6月には回復。「予想を上回る回復の早さ」との見方が多い。現在も好調が続く。新車販売台数も昨年4月に反動減があったが、その後は新車投入効果やレンタカー需要で増減を繰り返した。家電量販店は白物家電を中心に反動減が続く。製造業や農業は、円安などによる資材や燃料の高騰と合わせ収益を圧迫している。

 リウボウストアの売上高は昨年4月が前年同月比3・2%減だったが、5月は既存店で前年を上回った。ことし3月も30日までで3・8%増。金秀商事も昨年4月は前年から約5%落ち込んだが、6月にはほぼ前年並みに回復。サンエーも5月には前年並みに持ち直した。外国人観光客の増加も好影響を及ぼしている。
 県自動車販売協会によると新車販売台数は昨年4月が4・4%減だったが、その後は増減を繰り返した。沖縄トヨタは「昨年は暦年で前年比マイナス100台で極端には落ちていない」という。ことし3月の見込みは昨年とほぼ同じ水準だ。沖縄ホンダも昨年5~6月には回復した。
 日本銀行那覇支店によると、家電製品販売額は昨年7月を除き前年割れが続く。太陽光発電設備の新規接続保留による太陽光パネルの不調も影響している。
 土産品は観光客の増加で好調。ナンポー通商の売上高は昨年4月~ことし1月で前年同期比約20%増。ファッションキャンディは昨年4月~ことし2月で8~9%増。御菓子御殿はほぼ横ばいで推移している。
 生鮮食品を除く消費者物価指数は4月が2・6%増となり、その後は15年1月まで毎月1・8~3・0%増で推移した。
 おきぎん経済研究所の出村郁雄社長は「小売りは観光客や人口の増加で増税の反動を力強くはね返した」と分析。りゅうぎん総合研究所の照屋正常務は「観光客の増加に加え雇用の回復で世帯所得が増えたことも好調の一因だ」と指摘した。
 一方、豆腐製造は外国産大豆の高騰に増税が追い打ちをかけた。値上げした業者への注文減や、商品規格を小さくして価格を据え置くなどの動きも出ている。県豆腐油揚商工組合も「大変厳しい状況」とした。
 農業でも増税と円安傾向が重なり資材、飼料の高騰傾向が続く。JA沖縄中央会担当者は「仕入れ値は上がるが売値はなかなか上げられない。生産者所得が圧迫されている」と話した。
 建設業界は公共、民間工事の受注がともに好調で、際だった増税の影響は見られない。ただ県建設業協会によると、人手不足や円安などによる資材高騰が課題となっている。