沖ハム、高専が共同研究で新乳酸菌 県内初の特許取得


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「LC-Ikematsu株」の特許取得について発表する沖縄ハム総合食品の山本憲国開発・品質管理部本部長(左から2人目)と沖縄高専の池松真也教授(同3人目)ら=2日、県庁

 沖縄の生物資源の有効利用を共同研究してきた沖縄ハム総合食品と国立沖縄工業高等専門学校の池松真也教授の研究チームはこのほど、県産パイナップルから複数のアミノ酸を作ることができるラクトバチルス属乳酸菌「LC-Ikematsu株」を発見した。沖ハムが3月6日に特許を取得した。乳酸菌そのものの特許としては県内初、九州では2例目となる。沖ハムは発見した乳酸菌とシークヮーサーエキスを配合したゼリーを開発、今夏にも販売する。

 「LC-Ikematsu株」は人間の体内では生成できないアミノ酸や、免疫力アップ、二日酔い予防効果などが期待できる5~7種類のアミノ酸を自ら作り出すことができる。
 共同研究では、池松教授らが県産果物や野菜から100近くの乳酸菌を採取し、特徴的な菌についてさらに有用性を分析。次世代シーケンサーを使ってゲノム解析し、情報処理技術を応用したバイオインフォマティクス技術を用いて、アミノ酸を生成する能力を解読した。県のライフスタイルイノベーション創出推進事業を活用し、安全・機能性も確認した。
 池松教授によると、発見した菌は腸内環境を整える効果が期待でき、今後は生成するアミノ酸を生かした商品開発にも取り組む。池松教授は「ラクトバチルス属は研究がしつくされていたが、次世代シーケンサーなど最先端の技術を取り入れたことで、新たな機能発見につながった」と意義を強調。沖ハムの山本憲国開発・品質管理部本部長は機能性飲料の開発も視野に「全国に展開できる商品をつくりたい」と語った。