<菅官房長官冒頭発言全文>県民の信頼取り戻す


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 本日は普天間飛行場の辺野古移転をはじめ、沖縄の負担軽減策、また振興策について政府の考え方をご説明させていただいて、また知事との間で率直な意見交換をさせていただきたい。そういう思いの中で、きょうのお時間をお願いさせていただいた。

 また今後、政府と沖縄県との間で対話を進めていく。その中で第一歩にすることができればいいなと思っている。まず私の方から政府の考え方というものを簡潔にご説明させていただきたい。
 政府としては、国土面積の1%に満たない沖縄県に、約74%の米軍基地が集中している、このことについて沖縄県民の皆さんに大きなご負担をお願いしている、お掛けしている。ここについては重く受け止めている。
 安倍政権としては、まさに負担軽減のためにやれることは全てやれと。そして一つ一つ、具体的な形で物事が実現するように、という基本方針の下に政府の最重要課題の一つとしてこの問題を取り上げていることにぜひご理解をいただきたいと思う。そのためには、やはり全国の知事の皆さんや全国の地方自治体の皆さんに、お願いを国としてはしているところだ。
 また、その中でこの基地問題だが、何と言っても最重要というのは普天間飛行場の危険除去。まさにこの市街地の中心部に位置して、そしてまた周辺を住宅や学校にこれ囲まれているため、世界で一番危険な飛行場と言われている。そしてこの危険除去と固定化というのは、あってはならない。このことについては、県も国も同じ認識だと思っている。
 この飛行場について、19年前に日米で全面返還が合意をされた。そして3年後に当時の沖縄県知事と名護の市長の同意をいただいて、辺野古移設が閣議決定をしたという経緯もあることも事実だと思う。
 しかし、16年たっても、なかなか、いろんな問題があって進まなかった。今日までの政権の中で迷走もあった。そういう中で、一昨年に仲井真知事からご理解をいただいて、辺野古移設の埋め立て承認、このことに同意をいただいたところだ。
 現に昨日も尖閣諸島に公船が侵入してきた。わが国を取り巻く安全保障関係、極めて厳しい中にあって、まさにこの沖縄県民の皆さんの方々を含めて国民を守ることは国の責務だと思う。そうした状況の中で、日米同盟の抑止力の維持と危険除去、こうしたことを考えた時に、辺野古移設というのは唯一の解決策であると政府は考えている。
 そして今日にいたるまで長い間、日米間で真摯(しんし)に話し合い、議論してきたその合意事項でもある。辺野古移設を断念することは普天間の固定化にもつながるという、そういう中で政府としては承認いただいた関係法令に基づいて辺野古埋め立て、環境や住民生活で皆さんに配慮しながら、粛々と進めているところだ。
 また普天間の辺野古への移設に伴って普天間の飛行場の機能を辺野古に移るんじゃないかと言われているが、それは可能な限り負担軽減していきたいと思う。今普天間にあるこの三つの機能。その三つの機能のうち、一つ空中給油機。これについては15機全部、昨年、山口の岩国飛行場に移した。そして緊急時における航空機の受け入れ機能、これについても九州に移す予定で話を進めている。
 結果的に辺野古に移転するのはオスプレイなどの軍用機能だけだ。そして、オスプレイの訓練についても、本土でできる限り受けたいと思っている。昨年も数多く訓練が行われた。そしてまた千葉県において木更津自衛隊の駐屯地あるが、ここでオスプレイの定期整備、これを実施できるように、地元の知事、市長からもこのことに受け入れることで今、努力をしていただいている。こういう形でそこは進めていきたいと思う。
 そして、辺野古の埋め立て面積は普天間の約3分の1になるし、今、普天間では1万戸以上の世帯に住宅防音工事が必要となるが、辺野古はゼロになるというふうに私どもは報告を受けている。
 また普天間以外、いわゆる嘉手納以南。まさに沖縄の人口約8割が密集しているこの地域に所在する米軍基地の約7割が返還されることが一昨年、日米首脳会談で合意されて初めて具体的に明示されている。政府としてはこうしたことも一日も早く実現できるよう努力していきたい。
 全面積は東京ドームの220個分といわれている。非常に環境のいい土地だと思うので、地元のご意見をうかがいながら効果的な土地活用、まさに沖縄経済発展の起爆剤となれるよう政府も沖縄県と協力しながら、ここはしっかり進めていきたい。
 また先月末に返還され、昨日、知事もご出席いただいた西普天間の返還だが、その後も県からも強いご要望があった跡地利用における公共用地の取得、これが可能になるように円滑に進むように今度の国会でようやく成立することができた。
 さらに米軍による海兵隊の約半分の9千人、これがグアムはじめ県外に移転することがすでに合意されている。その中で昨年、米国においてグアム移転費の資金凍結、これが解除された。これからは本格的な移転が可能になってくるというふうに私は思っている。
 さらにこれは地位協定が締結され50年以上たって初めてだったが、こうした基地跡地利用が現実的になっているので、基地への事前の立ち入りができるような環境協定についても日米間で基本的な合意を得ている。
 このため、こういう思いの中で私どもとすれば、政府とすればぜひ負担軽減策と危険除去、日米同盟のまさに抑止力の維持、こうしたことを考えた時に、この辺野古移設をぜひ進めさせていただきたいと思う。
 また沖縄振興策だが、まさに沖縄は東アジアの中心部に位置する。この地域性にも優位性、そして出生率が全国第1位、こうした潜在力、そういう中で着実に経済発展すると思っている。2014年度は復帰以来、最高の有効求人倍率で、失業率も13、14年というのは18年ぶりに5%台になっている。まさに沖縄県はこうした特異性を生かしながら経済発展する。政府としても沖縄県としっかり連携しながら進めていきたい。
 具体的な取り組みを強化するためにいわゆる沖縄振興計画というものがあるが、この期間中の間は3千億円台の振興予算を確保する。安倍総理、閣議で発言している。ここはしっかりお約束は私どもは守っていきたいというふうに思う。また沖縄県はこの2年間の間に観光客が120万人増えている。そして706万という史上最高、昨年度は観光客が増えている。これもやはり県が中心となって一括交付金を活用して誘致活動をすると言っているので、私どもぜひ支援していきたいと思う。
 またユニバーサル・スタジオ・ジャパン、これの沖縄誘致の件だが。半年ぐらい前から、政府として何としても沖縄という思いで取り組んできているのも事実だ。このことが決定すれば、沖縄県としては極めて大きなインパクトになると思う。ぜひ、県としっかりこれから連動しながら実現に向けて進めていきたいと思う。
 そして観光客誘致1千万人を到達するためには、何と言っても第2滑走路の建設も大事だと思う。これについても1年半前倒しを決定している。今年度においても事業費330億円を計上しており、19年末の完成に向けて着々と進めていきたいと思う。
 そういう中で観光とともにリーディング産業として育ってきているIT関連。これについてもすでに301社、そして2万5千人の雇用が出ている。こうしたことも、しっかり取り組んでいきたいと思う。県がそういう一環の中で進めている航空関連事業の集積を図るために、国産ジェットの整備拠点を那覇空港に申請したいという強い要望がある。これも私が沖縄に来る前に、関係省庁集め、まさに防衛施設の移転を決定した。ここはしっかり実現したいと思う。私たち政権としては、約束したことは必ずやると。そういう思いの中で、一つ一つ負担軽減、そして沖縄県の皆さんと連携しながら経済政策を進めていって、信頼感を取り戻させていただいて、しっかりと取り組んでまいりたいと思うので、どうぞよろしくお願いしたい。