「厳しいが順調に推移」 浦添市・モノレール延伸で報告書


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 【浦添】浦添市都市計画課は、モノレールが浦添市内に延伸されるのに伴い株主として出資している立場から、総務省の「第三セクター等の経営健全化等に関する指針」に基づき出資先の沖縄都市モノレール社の経営状況をリスク分析した。

その報告書によるとモノレール社は2013年度末で約61億円の債務超過で「債務返済のめどが立っているとはいえない」としている。市都市計画課の宮城剛課長は「初期投資が大きい鉄道事業は一気に赤字は解消できないが、右肩上がりで乗客数は伸びている。売り上げは黒字だが、減価償却費を考慮すると決算上赤字になる。共に経営をよくしようという思いだ」と話している。
 報告書は2014年度、東京のコンサルタント会社に委託し作成した。総務省が第三セクターの経営状況の把握で経営健全化を勧めている指針に加え、税金を投入する以上、議会や市民に出資先について説明できるよう市独自のモノレール社の分析資料が必要とし事業を委託した。
 沖縄都市モノレール社の事業計画では、2038年には累積赤字を解消できる予定としているが、報告書の分析では累積赤字の解消は40年から10年以上はかかると想定しており、債務超過の解消はモノレール社の計画値より7年遅れの35年になると見込んでいる。
 また、県や那覇市など同じ株主同士リスクの認識を共有し、モノレール社の経営改善に取り組み、必要があれば「経営改革第三者委員会」の立ち上げなどを提言している。
 沖縄都市モノレール社の我謝幸男総務部長によると、鉄道事業は初期の設備投資が膨大なため、40年かけて収支を改善していくことが採算性の目安となっているとし「設備投資で原価消却費が当初は大きくのし掛かるが年々償却費も減っており黒字経営の転換に向け順調に推移している」と説明した。