在沖米基地に改善勧告 国連審査報告書、人権侵害など指摘


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 中国、アルゼンチンなど少なくとも6カ国が沖縄の米軍基地に関し、沖縄の人々の自己決定権や土地権、環境権、女性の人権などが侵害されているとし、米国に改善を勧告したことが19日分かった。19日までに採択された、国連人権理事会の普遍定期審査(UPR)対米審査報告書に盛り込まれた。同定期審査は国連全加盟国を対象にしている。

 報告書に沖縄のことを盛り込むよう48理事国に働き掛けた「沖縄『建白書』を実現し未来を拓(ひら)く島ぐるみ会議」の島袋純国連部会長(琉球大教授)がこの日、県庁で会見し、明らかにした。
 報告書は15日付。9月の人権理事会本会合で採択される見通し。勧告に拘束力はないが、米国の対応は国際的に注目される。同会議は本会合で沖縄の状況を訴えるため、翁長雄志知事を登壇させることを目指す。
 同会議は4月1~2日、スイスのジュネーブで開かれた事前セッションで7カ国の代表者に働き掛け、他の国にも資料を送付。(1)自己決定権と土地権(2)環境権(3)女性の権利(4)表現の自由-の侵害を訴えた。
 島袋教授によると報告書で中国は「自治、自己決定権を尊重し、土地や環境、言語などの問題に関し(国内外の)先住民と十分に対話すべきだ」と勧告した。
 この種の報告書に「沖縄」などの固有名詞が書かれることはほぼないというが、少なくともアルゼンチン、マケドニア、フィンランド、ユーゴスラビアも沖縄をはじめとする米国外の米軍基地に関連するとみられる記述を盛り込んだ。