知事東京会見、“移設反対”前面に報道 外国メディア


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 【ワシントン=問山栄恵本紙特派員】米国など外国メディアは22日までに、翁長雄志知事による20日の日本外国特派員協会での会見や、インタビューなどを報じた。過重な米軍基地負担に苦しむ県民の現状を積極的に訴える翁長知事の発言を丁寧に紹介。米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設反対の意思を伝えるため訪米する翁長知事の方針を前面に打ち出した。一方、安倍政権が「辺野古移設」を重視している姿勢や全国の世論調査結果など辺野古移設をめぐる沖縄と日本本土との温度差なども伝えた。

 英国のロイター通信は翁長知事が「ワシントンでの面談で、沖縄県民の願いを無視することは特にアジアでの日米両国の評判を傷つけることになると伝える」と報じた。さらに知事が「移設問題を長引かせれば、日本の威厳に影響する。もし自国民の人権や平等、民主主義を守れないのであれば、真のリーダーになれないのではないか」と疑問を呈しているとした。
 フランスのAFP通信は「米軍基地は沖縄の経済発展の阻害になっている」と紹介。米大手ワシントンポスト紙(電子版)は訪米に向けた知事へのインタビューなどを盛り込んだ記事を掲載。「辺野古での新基地建設はできないと信じている。法的手段で止めないといけない」と知事の発言を伝えた。埋め立て承認の撤回については「ほとんど成功する見込みない」と厳しい状況にあると指摘した。さらに訪米の際、知事が国務省と国防総省の次官補との面談を求めていることについても「日本部長などのクラスより上の面談は見込めない」とのアナリストの見方を紹介した。
 米AP通信は「普天間移設の論争は沖縄と本土との間での深い緊張を象徴するもの」と指摘した。また沖縄では騒音や犯罪などの問題で米軍基地反対の声が高まっているとする一方、安倍晋三首相は「辺野古の移設計画は米国との同盟関係において不可欠だ」と重要視していることも触れた。
 辺野古移設反対を訴える訪米行動についても紹介した。「沖縄は過重な基地負担を負っており、不平等な状況について米国に知ってもらいたい」とする翁長知事の意欲を伝えた。ただ、知事が「基地をめぐる問題は繊細であるために、ワシントンでの面談設定は容易ではない」と述べるなど訪米行動の難しさも報じた。
 米ウォールストリート・ジャーナルは、基地用地が強制収用された歴史的な経緯などに翁長知事が触れた上で、辺野古移設を強行する政府に対し「日本国の政治の堕落ではないか」と強調したことを紹介。ただ、辺野古移設反対について地元では圧倒的な支持があるが、全国の世論調査では意見が分かれると指摘した。読売新聞が5月に実施した在沖米軍をめぐる安倍政権の姿勢に関する世論調査結果を挙げ、支持と不支持が拮抗(きっこう)しているとした。