国旗・国歌要請、琉大「議論棚上げ」 学長が批判


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国旗掲揚・国歌斉唱の要請を疑問視する琉球大の大城肇学長=24日、西原町の同大

 琉球大学の大城肇学長は24日の定例記者懇談会で、下村博文文部科学相が16日に全国の国立大学長に入学式や卒業式での国旗掲揚と国歌斉唱を要請したことについて、個人的見解と断った上で「国が大学にグローバル人材の育成を求める一方で、国旗掲揚や国歌斉唱を求めるのは国粋主義的だ」と批判した。

国旗・国歌の議論が学内に持ち込まれると混乱が懸念されるとして「当分は棚上げしたい」との方針を示した。
 大城学長は文科相要請に「アジアからの留学生が目にしたらどう思うか。国旗国歌は強制すべきものではない」などと述べた。
 琉大は1950年、米国軍政府布令で設置され、その後琉球政府立、復帰に伴い国立になった。大学によると、開学当初からの国旗・国歌への対応は記録が残っていないため確認できないが、少なくとも81年以降は卒業式や入学式で国旗掲揚・国歌斉唱をしたことはないという。
 大学では毎年260~300人前後の留学生が学んでおり、出身国・地域別(2014年5月時点)では中国が最多で、以下韓国、インドネシア、台湾とアジア圏が上位を占める。
 大城学長は個人的な考えとした上で「国旗を掲揚するなら留学生の母国全ての旗を掲揚したい。その方がグローバル教育を進める中で意味があるのではないか」と語った。
 国会などで「税金を使っている国立大は国の要請に応えるのは当然」といった意見があることに「地域に貢献することが社会に還元することになる。国旗を掲げることが(税金投入に)応えることになるとは思わない」と述べた。
英文へ→University of the Ryukyus criticizes government’s request to raise flag and sing anthem