沖縄在住外国人「言葉通じない」3割 公共施設の多言語化求める


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 県はこのほど、県内に在住する外国人へのアンケート調査の結果をまとめた。多くの外国人が「日常生活での悩み」に「言葉が通じないこと」を挙げ、行政に対し「病院や役所などの公共施設で多言語による窓口対応」を求めている。約3割が窃盗などの犯罪被害に遭い、健康保険や年金に加入していない人も13%いることが分かった。県は市町村の担当者を交えた「県・市町村国際交流担当者連絡会」で調査結果を生かし、対策を練る考えだ。

 調査は「多文化共生推進調査事業」として特定非営利活動法人沖縄NGOセンターが実施。今年2月までに県内在住外国人409人が回答し、41市町村の担当者からも回答を得た。
 日常生活での悩みに31%が「言葉が通じない」を挙げ、「文化や習慣の違いや不理解」が19%と続いた。「病気やけがをした場合の対応」「就職が困難」がともに14%だった。日本語について「不自由なく会話できる」は23%、「日常会話ができる」は39%、「全くできない」は6%だった。
 犯罪被害は「窃盗、強盗など」が8%、「空き巣」が3%、「詐欺など」「脅迫、恐喝など」がともに2%だった。トラブルを経験した人は12%で、その原因として26%が「言葉が通じないため」を挙げた。
 仕事は4割が正社員で非正規は2割、無職が2割。賃金の安さや残業の多さなどへの不満があった。災害時の避難場所を知らない人も36%いた。
 行政への要望は「日本語学習への支援」が44%、「公共施設での外国語表記など」「母国語による行政サービス情報」がともに34%、「就職相談」「地域との交流機会の提供」がともに26%、「医療通訳ボランティア」が23%と続いた。
 一方で41市町村への調査によると、外国人への相談業務を行っている市町村は12%、交流機会を提供しているのは20%、地域の交流協会などと連携しているのは20%にとどまった。
 県によると県内外国人登録者は2014年6月末現在で1万353人で、県人口の0・73%(全国29位)を占める。最も多い出身国は米国で、フィリピン、中国と続き、近年の留学生増加によりネパールなどの人々が増えている。