那覇空港第2滑走路、工事1ヵ月進まず


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 那覇空港第2滑走路建設に伴う石材の投入で漁場に汚濁が広がっているとして、那覇市沿岸漁協など周辺5漁協が事業主の沖縄総合事務局に対し、工事を停止して汚濁防止対策を講じるよう求めていることが5日、関係者の話で分かった。

滑走路建設工事は7月以降、相次ぐ台風の接近により約1カ月間作業ができない状況が続いており、再開のめどは立っていない。一方、漁協間でも「工事停止までは求めていない」と国との協議の進め方に疑問の声があり、6日に代表者による会合を開いて今後の対応を話し合う。
 沖縄総合事務局那覇港湾・空港整備事務所によると、台風9号の接近に伴い7月4日ごろ、全長約2・5キロの汚濁防止膜(オイルフェンス)を陸揚げした。再度オイルフェンスを張るには2週間程度を要し、その後も台風が相次いで接近していることからフェンスは陸揚げされたままになっている。
 さらに7月に入り、滑走路建設予定地に漁業権を有していた糸満、港川、那覇市沿岸、那覇地区、浦添宜野湾の5漁協の連名で、石材の搬入などで周辺海域にまで汚濁が流出していると訴えがあった。沖縄総合事務局は台風対策で工事が止まっている間に、交渉窓口の那覇市沿岸漁協と汚濁防止対策などの協議を進めてきた。
 那覇港湾・空港整備事務所は「現在海上の作業が止まっているのは、台風13号の接近もあって汚濁防止膜の再設置ができない状況が続いてるためだ。その間に防止膜のメンテナンスなど、漁協とも話し合いをしながら汚濁が出ないような対策をあらためて確認している」と説明した。
 5漁協と沖縄総合事務局は、汚濁が発生した場合、工事を中断して対策を講じるといった内容の汚濁防止協定を締結している。那覇市沿岸漁協は汚濁によって漁業に影響が出ていると指摘、汚濁防止策で国との協議の開始を各漁協に呼び掛けた。協議の対応を那覇市沿岸に一本化することで4漁協の委任を得たという。
 ただ、滑走路建設工事の中断状況が長期化する中で4漁協の間には「工事停止や補償請求の要請については、各漁協に専門の交渉委員がいる。工事停止に踏み込むと、業者から損害賠償を迫られる事態もあり得る」と戸惑いも広がっており、6日に5漁協が緊急に集まる運びとなった。
(上江洲真梨子)