バス運転手不足深刻 観光需要増、志望者は減少


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多く連なる観光バス=那覇市内

 沖縄県内のバスの運転手不足が深刻化している。入域観光客の増加に伴う県外バス業者の県内参入による運転手の取り合いや、バス運転手を志望する若者の減少、免許保有者の高齢化などが背景にある。沖縄総合事務局はこのほど「バス運転手の採用・定着相談窓口」を設置し、バス運転手不足の解消に向けた取り組みを強化している。

 「県内のバス台数は足りているが、運転手が足りない。求人を出しても人があまり来ない」とバス業者らは口をそろえる。沖縄総合事務局によると、2012年度の県内一般貸し切り旅客自動車数802台に対して、運転手は642人(国土交通省自動車局発表)にとどまっている。
 路線バスを持つ会社はこれまで、団体旅行の繁忙期の10~12月に路線バスの運転手を貸し切りバスに振り分けてやりくりしてきた。
 さらに入域観光客が増えるにつれ、県外のバス事業者が参入し、バス業者間の運転手の取り合いが激化している。ことしに入ってから数十人のバス運転手を引き抜かれた会社もあるという。バス運転手がさらに減少すると、路線バスへの影響も懸念される。
 県内のバス運転手の高齢化も進んでいる。国土交通省自動車局によると、国内のバス運転手の平均年齢は48・3歳だが「県内はそれを上回る傾向にある」と沖縄総合事務局が指摘する。高齢化が進む中で、若者の免許取得者が減少している。那覇バスの大城逸雄常務は「大型二種免許の取得費用は約40万円かかる。若い人にとって非常に大きな負担だ。バス運転手を増やすにはぜひ国にも支援してもらいたい」と語った。
 バス運転手を中高年層の労働力に依存し続ければ、将来的に深刻な労働力不足に陥る恐れがあるため、沖縄総合事務局は今月17日に「バス運転者の採用・定着相談窓口」を設置した。今後事業者の個別相談体制を構築するほか、地域の事業者団体と連携し、バス事業者を支援していく。
 同運輸部陸上交通課の古堅宗安課長は「今後中小バス会社を中心にサポートし、若者らにバス運転手の魅力などを発信していきたい」と話した。(呉俐君)