豊作願いウフデーク 八重瀬町安里300年の伝統 厳かに


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 【八重瀬】旧暦7月17日に当たる8月30日、八重瀬町安里(金城正長区長)で約300年の伝統を持つ祭祀(さいし)舞踊「ウフデーク」が踊られた。

紺地の着物に身を包んだ40~60代の女性62人が三つの拝所に歌と踊りをささげ、集落内を練り歩いた。公民館前の広場では輪を描いて厳かに踊り、子孫繁栄や五穀繁盛を願った。
 玉城親方の娘・乙鶴(うとぅぢる)によって安里に伝えられたとされ、約300年の歴史を持つウフデーク。女性たちは午後5時半ごろから、乙鶴が祭られた孝神堂やヌルドゥンチ、ミードゥンチで拝みをささげ、扇子や手ぬぐいを返しながら踊る「ヒーヤーウーディー」を踊りながら道ジュネー。広場では太鼓や四つ竹を打ち鳴らして踊りながら七つの歌を歌った。
 ウフデークの継承に尽力し、第15回南部文化賞を受賞した桃原幸枝さん(95)の受賞報告会・激励会も行われた。桃原さんは1963年、それまで口承で伝えられていた歌を歌集にまとめたほか、7年に1回の開催だったウフデークを毎年行い、安里ウフデーク保存会の会員増に貢献した。
 桃原さんの次女で保存会会長の我那覇恵美子さん(65)は「母が若いときは指導が厳しく、うまく踊れなくて怒られたこともあるが、続けてよかった。一時は継承が心配になったが、会員がこれだけいれば安心」とほっとした表情。
 桃原さんは「ことしのウフデークはみんな上手だった」と目を細め、「ウフデークは自分一人でできるものではない。来年はもっと盛大にできるよう頑張ります」と笑顔で語った。

太鼓を打ち鳴らし、歌を歌いながら輪を描いて厳かに踊る安里ウフデーク保存会の女性たち=8月30日、八重瀬町安里の安里区公民館
南部文化賞を受賞し、祝福される桃原幸枝さん(前列中央)