育鵬社の問題点触れず 公民教科書、八重山採択協議会


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 【八重山】石垣市教育委員会は17日、2016年度から使用される中学公民教科書に保守色の強い育鵬社版を選定した教科用図書八重山採択地区協議会の議事録を公開した。

公民選定では専門家から指摘される育鵬社の問題点について、ほとんど議論されずに選定されていたことが分かった。
 協議会は8月17日に非公開で開かれ、議事録は情報公開請求で開示された。
 育鵬社の公民は専門家から「平和主義を否定する内容」「基本的人権より義務を強調している」などと問題点が数多く指摘された。
 しかし八重山採択地区の各委員は協議で、指摘される問題点にはほとんど触れず「アイデンティティーが持てる学習内容」「全ての見出しに私たちが入り、理想の国や社会は私たちが努力して実現させていくという趣旨が示されている」などと推薦理由を説明した。ほかの教科書についての評価や、公民教育で重視されてきた平和主義、憲法に関する言及はなく、全委員が育鵬社を推した。
 唯一「権利と義務」の考え方に言及した委員の一人は「権利と同じくらい重いのが義務。社会のルールとして公共の福祉が優先される。例えば犯罪をした時には人権は拘束されるし、当たり前のことだ」などと見解を述べ、専門家が問題とする点を逆に評価した。