『指名される技術』堀江貴文、斎藤由多加著


社会
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『指名される技術 六本木ホステスから盗んだ、稼ぐための仕事術』堀江貴文、斎藤由多加著

 分析され、暴かれる「真心」

 真心とか情熱とか、精神論や美学で片付けられ、ぼやーんとしたまま明かされることがない……これはキャバクラやクラブなど水商売での接客技術のことだ。しかし『筆談ホステス』をはじめ多くの書籍が出てきたことからみて、その仕事術に興味のある読者は多いのだろう。

 本書はホリエモンこと堀江貴文と斎藤由多加による「フィクション的手法をとったエッセー」である。登場人物は「堀藤」という架空の男性。つまり堀江と斎藤、さらに彼らが見聞きしたエピソードを、「堀藤」という男性の身の上に起きたこととして語っている。本書は、それらのエピソードを通して、ホステスから盗んだ「稼ぐための仕事術」に焦点を当てている。
 「人間関係のややこしさをうまく躱(かわ)すことができれば、仕事はうまくいく」「そもそも知名度というのは記憶」「『共犯意識』を演出して良好な関係をつくる」。キャッチーな言葉で、ホステスのしなやかで細やかな心配りが、分析され、暴かれていく。あまりの鮮やかさにページをめくるにつれ興奮が増して行く。
 終章で堀江は、願望について語っている。「ロケットはスピードが出ている時は姿勢が安定」する。一方で速度が低下すると不安定になる。「だからゴールに向かって安定して走行・飛行するには、常にスピードを出していることが求められます。」そう堀江は語る。つまり願望、ゴールを見据え、そこに向かって邁進することがスピードと安定をもたらすのだと。
 働く人、人と関わり合いながら暮らす全ての人に読んで欲しい、冷静でありながらも情熱を感じる一冊だ。
 (ゴマブックス 1400円+税)=アリー・マントワネット
(共同通信)
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アリー・マントワネットのプロフィル
 アリー・マントワネット ライターとして細々と稼働中。ファッション、アイドル、恋愛観など、女性にまつわる話題に興味あり。尊敬する人物は清水ミチコ。趣味はダイエット、特技はリバウンド。

指名される技術 六本木ホステスから盗んだ、稼ぐための仕事術
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