―なぜ当初は意見聴取を伝達し、今回聴聞に方針を切り替えたのか。
竹下弁護士 本来この件は行政手続法の適用除外で、聴聞は必要ない。そのため最初はストレートに聴聞ではない意見聴取という手続きを考えた。だが国が行政手続法に基づく聴聞をすべきだとずっと主張している。県は行政手続法の適用除外という認識は撤回しないが、手続き的なところでこれ以上もめるよりは、実体的な中身で問題を判断してもらうべきだと考えた。
―(聴聞は)防衛局の主張を受け入れたことになる。裁判を見据えた時に県側に不利にならないか。
竹下 それぞれの立場から意見があり、何が有利で何が不利かはいろいろな答えがある。全て含めた上で聴聞を行う結論に達した。
―10月7日に聴聞を行うというが、取り消しの時期もずれ込む。いつ取り消すのか。
知事 現時点でいつごろ取り消すと明示はできないが、聴聞後、適切な時期に最終的な判断を行う。
―意見聴取を実施した場合は実施後1、2週間が判断の目安になるという話だった。今回も目安は変わらないか。
竹下 聴聞に国が応じる場合と応じない場合で少し変わり得る。応じるのならばしっかり中身を検討するので、若干時間が必要だ。
―10月7日まで取り消しは行わないということか。
知事 そうなると思う。
―聴聞を行うことで防衛局を私人、事業者という捉え方をするのか。
竹下 聴聞通知書には行政手続法の適用除外に当たると明記した。県は見解を変えていない。
―すぐ取り消しもできた。ここまで配慮し、手続きを踏むと判断した理由は何か。
竹下 形式的な手続き的の瑕疵(かし)うんぬんで第三者に判断されるのであれば本意ではない。慎重な手続きを取ることにした。
―聴聞することで、承認取り消し後に国が「私人」の立場で審査請求するリスクが高まるという認識はあるか。
竹下 どのような手続きをしたから、審査請求を回避できるということでもないだろう。私たちは少なくとも何らかの瑕疵があるということを避けたい。
―行政手続法に基づく聴聞を実施しつつ、国の立場は行政手続き法の適用除外だと主張するのは一見矛盾する。両立する論理構成はあるのか。
竹下 行政手続法上の聴聞を行うことと、行政手続法4条の適用除外規定が矛盾するとは考えていない。
―取り消しが遅れる。決意に変わりないか。
知事 裁判の想定は具体的なことは言えないが、県民と私の信頼関係はしっかり築かれていると思う。
―国側に配慮して丁寧に手続きを進めるというのは、裁判を見越したことか。
知事 ありとあらゆることを想定し、裁判を予測しても、必ず勝訴したいという思いもある。丁寧な取り扱いになると思う。
―行政手続法の適用除外であれば、なぜ県は意見聴取を設定したのか。聴聞に判断が変わった決め手は何か。
竹下 意見聴取を通知したのは、行政手続法の適用がないという認識を県として直球で明確にしておくためだ。それに対する国の態度に応じてどうするか、というものは、県として検討する必要がある。
―取り消しの意見聴取実施を発表した際には、取り消しまでに3週間から1カ月かかると説明していた。今後の日程も同じか。またその起点はいつになるか。
竹下 国が聴聞に応じるかどうかで県の手続き期間は変わる。あらためて手続きを取ったので、起点はきょうだ。
―国が応じない場合は取り消しが早くなるのか。
竹下 国の対応で変わる。
―仮に意見聴取の時と同じように(聴聞期日の)10月7日よりも前に、国が聴聞に応じないと答えた場合も、7日まで待つのか。
松永 行政手続法によると、7日を待たないと基本的には終結できない。
―待っている間に辺野古の現場で本体工事に着手した場合でも10月7日まで待つのか。
知事 県民、民意との信頼関係は大変重要だ。政治的な判断では横目でにらみながら、今日までのいきさつの中で判断する。
―県民から疑心暗鬼の気持ちも出ると思う。信頼関係というものを詳しく聞かせてほしい。
知事 信頼関係から心配されているとは思っていない。工事再開とか、突発的に何か起きるかもしれないことは横目でにらんでいく。私の決意は変わらない。まずは10月7日の範囲内で判断する。県民との信頼関係を強固に築きながら、判断したい。