屋比久がグレコ頂点 成年男子75キロ級 和歌山国体


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成年グレコローマンスタイル75キロ級決勝、豪快に技を決める屋比久翔平=30日、和歌山県の那智勝浦町体育文化会館(普久原裕南撮影)

 【和歌山国体取材班】第70回国民体育大会「2015紀の国わかやま国体」第5日が30日、和歌山県内各地で行われ、レスリンググレコローマンスタイル75キロ級の成年男子屋比久翔平(浦添工高―日体大)が優勝した。

◆屋比久、狙い通り
 試合終了までの残り時間は10秒。屋比久翔平(浦添工高―日体大)が阪部(和歌山)を左に大きく振った。「だいぶスタミナを削れている」。相手に体力がないことは見抜いていた。体勢を崩した阪部をマットに押し付けると、2点のビハインドを吹き飛ばすラストポイントをつかみ取った。「泥くさく闘って後半に勝負を決めようと思った」。イメージ通りの展開で「今大会のヤマ場」と考えていた準決勝を勝ち抜いた。
 第1ピリオドから我慢の時間が続いた。消極的と見なされて相手に攻撃権が与えられ、背後からの連続技を受けて4点を失った。「ゼロで抑えようと思ったのにやってしまった」。
 1―4とリードされて迎えた第2ピリオドは背後からの攻撃権を獲得したが、技を決められず無得点に終わった。それでも、「まだまだスタミナはある。行くしかない」と集中力を切らさなかった。動きが鈍り始めた相手を追い詰め、「国際大会でもやってきた勝ちパターン」と言う最終盤の得点で勝利をもぎ取った。
 決勝は同じ大学の宇野(岡山)に6―0で完勝。「自分を知っている相手だったので気持ちを引き締めて闘った」。
 国体の成年で頂点に立つのも、年齢区分のない一般の全国大会で優勝するのも初めてだ。「すごくうれしい」と輝きを放った瞳は、次のステージを見詰めていた。「全日本選手権も勝ってオリンピックを目指す」。来年のリオ、2020年の東京。世界の舞台へ向かい、一歩ずつ進んでいく。
(平安太一)