与那国町、仮設住宅を検討 台風21号


社会
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台風21号により全壊した家屋を片付ける瓜生彩さん=1日、与那国町の比川集落(屋嘉部長将撮影)

 【与那国】最大瞬間風速81・1メートルを記録した非常に強い台風21号の接近により、全壊10戸を含む322戸の住宅が被害を受けた与那国町は、災害救助法の適用を受け、仮設住宅の設置を検討する方針だ。

そのため、被害世帯の実態把握を急ぐ構え。町内では1日も引き続き、電線の修理や損壊した住宅の補修作業などが進められた。
 被害の復旧について、町の担当者は「町営住宅も空きがない状況だったが、災害救助法の適用で仮設住宅の支援が可能になる」とし、仮設住宅設置を検討する考えを説明。「要件があるのでまずは適用世帯などを調査したい」と話した。
 町によると、家屋が全壊した男性(64)1人が現在も町構造改善センターに仮住まいを続けている。そのほか住宅が全半壊した住民は知人や親族宅に身を寄せ暮らしており、今後の生活への不安が高まっている。
 借家が全壊した町比川地区の瓜生(うりゅう)彩さん(31)は「私もそうだが、大家さんもショックを受けていた。直すのか撤去するのか分からない」と困惑した。当面はテントで生活する考えで、行政からの支援を期待するが「いつになるのか」とため息を漏らした。
 台風で自宅の窓ガラスが割れ、家の中に風が吹き付け雨で畳がびしょぬれになった真地泰充(まじやすみつ)さん(60)は「まさかこんなことになるとは。離島だから窓ガラスの修理も時間がかかる。大変だ」とこぼした。乾かすため畳を取り外した家の中で、孫ら家族6人で寝泊まりするこの数日。知人の協力を受け、壊れた屋根瓦の修復作業にも追われる。「元の生活に早く戻りたい」と話した。
 一方、停電や携帯電話の不通は、ほぼ解消に向かっている。沖縄電力によると、午後10時42分、送電復旧が完了した。携帯電話も一部を除き使用できるようになった。NTT西日本沖縄支店によると、ケーブルの断線などで約400回線は不通が続いている。