東村、定住促進作戦実る 6年間で100人が移住


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東村が建設した集合型の定住促進住宅=東村慶佐次

 【東】沖縄本島で最も人口が少ない東村は、村外からの移住や村在住者の村外流出を抑えるために低家賃の住宅や育児支援などの独自の定住促進策に力を入れ、2010年度からの6年間で村内外から計32世帯100人が定住促進住宅に入居した実績を挙げている。県地域・離島課によると、県内市町村は移住のための取り組みが全国に比べ遅れている。その中で、東村は定住促進のための住居を整備して短期の体験入居も実施する県内初の試みを積極的に進めており、他市町村への広がりも期待されている。

 東村の人口は微減が続き、9月1日現在で1870人。「国立社会保障・人口問題研究所」が2008年12月にまとめた報告では、15年度の同村の人口を1701人と予測していたが、定住環境整備で一定の歯止めがかかっている。同研究所は、同村の人口が35年には1411人に減少すると予測している。

 村は、人口減少に歯止めをかける施策に工夫を凝らしている。村が整備する定住促進住宅は子育て世代を対象にした「一戸建て型」と、1人暮らしから子育て世代まで部屋の大きさが3種類あるアパート形式の「集合型」がある。家賃は「一戸建て型」が3万5千円、アパート形式の「集合型」が1Kが2万9千円、2LDKが3万5千円、3LDKが4万5千円。村企画観光課は、民間の相場に比べて「安く設定している」と説明する。村は短期間の体験入居も実施し、受け入れ拡大を試みている。

 0歳から中学卒業までの医療費が無料、出産祝い金、給食費の半額助成など子育てや福祉面も充実させている。こうした取り組みが功を奏し、6年間で村外からは17世帯48人が定住促進住宅へ入居した。さらに村出身者のUターンや村内の実家からの引っ越しなどで15世帯50人が入居した。

 定住環境の整備で村企画観光課は「他市町村からも問い合わせがある。最も大きな課題は雇用の場の確保だ」と述べ、民間企業が少ない中でどう働く場を増やすのか模索している。

 妻と長男、長女の4人家族で県外から移住し、4月から一戸建ての定住促進住宅に入居している小林大作さん(43)は「自然が豊富で感性が豊かになる環境が子どもにとっていい。子ども医療費免除など、制度が充実しているのが大きい」と村へ移住した理由を語った。(古堅一樹)