環境汚染懸念、憤る漁民 劣化ウラン弾誤射

  鳥島射爆撃場に1520発もの劣化ウラン弾が撃ち込まれていた事実は県民に衝撃を与えた。放射性レベルは低いとはいえ、環境汚染への不安は消えない。米軍により繰り返される事件・事故、守られない約束。劣化ウラン弾事件を検証した。 起きてはならないことがまた起きていた。しかも1年以上も前に。大田知事は「全く異常としか言いようがない」と絶句。久米島の平良曽清仲里村長、内間清六具志川村長や上原幸一久米島漁協組合長らは「人体に影響がないというが信用できない」「漁民にとってかけがえのない漁場。環境への影響が怖い」と、繰り返される事故への憤りをあらわにした。 米軍の発表では、残存する劣化ウラン弾は環境への危険はなく、海洋生物にも影響を与えないと、危険性を否定。池田外相も「大きな危険はないと思う」との認識を示し、橋本首相は日米共同での環境影響調査が望ましいとの考えを明らかにした。 劣化ウラン弾は湾岸戦争で、初めて使用されたといわれる。この戦争に参戦した米将兵に、奇妙な皮膚炎や関節炎、記憶障害などの湾岸戦争症候群と呼ばれる兆候があることが報告され、劣化ウラン弾が起因していると指摘する向きもある。 「劣化ウランは、放射能そのものの被ばく量は強くないが、体内に取り込むと、組織に沈着し内臓障害が起きる。半減期は45億年で、放射能はほとんど不変だといえる」。琉球大理学部の平良初男教授(放射化学)は、劣化ウラン弾の危険性をこう指摘する。 劣化ウランは、核分裂する濃縮ウランのウラン235を取り除いたものをいう。劣化ウランの用途はほとんどないが、比重が鉄の2倍という重金属のため、少量だが民間航空機の翼部分のバランサーなどに使用されているほか、化学研究室などで細胞染色用の試薬として使用されている。 重金属で慣性をつけるため爆弾に使用しているとみる平良教授は「鳥島について詳細を知らないが、爆弾として撃ち込まれると、その衝撃で散る。燃えると粉末状になってばらまかれ、土壌が汚染される。そうであれば鳥島が返還されても利用制限をする必要が出てくるだろう」と将来的な不安をにじませ、速やかな現地調査と撤去を強調する。 一方、若狭湾エネルギー研究センターの垣花秀武所長(元名古屋大プラズマ研究所長、元国際原子力機関副事務総長)は「劣化ウランは毒性や放射能の心配はなく、銃弾が海に落ちたからといって魚が汚染されることはなく、環境を壊すこともない」と言い切る。 ただ、「劣化ウランを含んだ銃弾の使用は好ましいことではない」と話し「今回は事前に報告もなく、また事後の報告も遅れた極めて政治的な部分での問題」ともいう。