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カジノ導入に賛否、那覇市でシンポ 2002年7月23日 
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  沖縄経済同友会は22日午後、全米インディアン・ゲーミング(カジノ)協会研究部長で文化人類学者のキャサリン・スピルディ氏を招き、沖縄へのカジノ導入の是非を考えるシンポジウムを那覇市のパレット市民劇場で開いた。「アメリカにおけるカジノの社会的、経済的インパクト」をテーマにした基調講演でスピルディ氏は、インディアン居留区のカジノ導入による雇用効果などを紹介した上で「海外の事例も参考にし、沖縄自身が決めてほしい」と提言。小浜哲名桜大教授がコーディネーターを務めた討論では、糸数慶子県議、沖縄経済同友会ゲーミング特別委員会の宮里由紀子委員長がそれぞれ反対、賛成の立場で意見を述べた。会場には約200人が訪れ、フロアからは治安面など社会的影響で質問が上がった。
 規制徹底の態勢必要/キャサリン・スピルディ氏
  米国でもカジノ導入にさまざまな不安があった。政府は1976年の調査で合法化した方が規制しやすく、課税対象になるため、ギャンブルの合法化を認めた。
  調査後、多くのギャンブルが合法化された。76年にカジノがある州は一つだったが、今は28州だ。98年に合法化の影響を調査し、カジノは多くの雇用を創出、規制しやすく、社会的問題も少ないという結果が出た。カジノは24時間営業のため、三交代分の雇用を創出し、ホテルやレストラン、ゴルフ場が付随することで仕事も増える。カジノは非日常的な空間で毎日行けないため、ギャンブル依存症が低い点も注目された。
  以前は経済学者の研究が中心で社会的影響の調査が少なかったが、私は人類学や社会学の立場から実際にカジノを導入した地域を訪ね、住民と話し、導入前後でどう変わったかを調べた。インディアン居留区では失業率が非常に高かったが、カジノ設置で住民が仕事に就き、健康保険に加入でき、生活の質が向上した。うつ病や不安、家庭内暴力、飲酒も減り、犯罪率も下がった。インフラ整備も進んだ。
  カジノが社会に良い影響をもたらすためには、地元がしっかりコントロールすることだ。何よりも規制を徹底する態勢づくりが重要だ。沖縄は海外の事例を研究し、良い点を学ぶことができる。上からの押し付けではなく、地域の人たちが考え、決めた形でやってほしい。
 自立経済に逆行、糸数氏/約4000人の雇用、宮里氏
  小浜氏 スピルディ博士の講演は人類学の見地からのカジノ論で、有意義だったが。
  糸数氏 現状では導入は困難だ。理由の一つは政府の消極的姿勢だ。内閣府がカジノ特区を検討していると報じられたが、政府も「治安面の懸念が課題」としている。二つ目は現在の稲嶺県政の振興策にも逆行することだ。ギャンブルに依存した経済の確立は自立型経済の方向に反する。自然や文化など沖縄には観光客を誘致する条件がすでに整っている。導入には警察など社会的なコストもかかる。観光のイメージダウンにもつながりかねない。癒やしとか安らぎとか、沖縄観光の量から質への転換が一番大切だ。
  宮里氏 沖縄観光には天候の影響でマリンスポーツができない日をどうするかといった構造的問題もある。エンターテインメント性のある魅力ある観光の一つとしてカジノを勉強してきた。特定地域に限定した観光型を考えている。カジノ導入で最低4000人の雇用が生まれる。その税収によって公共工事にどっぷり漬かっている財政の状況も改善できる。青少年への影響だが、先進国ではカジノは厳格に規制されている。ポルノやパチンコなど、むしろ現在きちんとされていないものも規制の対象になっていくという効果も出てくるのではないか。
  スピルディ氏 カジノは世界中にある。海外をもっと調査して沖縄に必要かどうかを考えてほしい。沖縄と同じく島嶼(とうしょ)圏の(中米の)バハマのカジノは参考になるだろう。小さい島だが、カジノが雇用をもたらした。インディアン居留区では、導入による独自文化の喪失が懸念されたが、むしろその文化の魅力を伝える機会が増えたと思う。
 犯罪の増加に懸念も/フロア質疑
  フロアからは、各国のカジノのデメリットを問う声や、犯罪増加、青少年への影響を懸念する声があり「カジノは非日常だと言うが、インディアンカジノでは年金生活者をバスで運び、週に6日通うお年寄りや学校長が入り浸る現状もあった」との報告も。
  スピルディ氏は、インディアンカジノの背景について「貧しい土地に追いやられた代償としての政府の経済援助に依存し産業発展しないインディアンにとって、カジノ導入が初の経済自立のきっかけになった」と説明した。
  デメリットである人口の1%を占めるギャンブル依存症も、合法化により顕在化するため、規制や救済措置が取りやすいと強調し、実際にカジノ関連課税で得た財源で治療対策も講じていると報告。青少年への影響も年齢制限で規制可能だとした。
  宮里氏も「犯罪が増える所と減る所があり、要は規制の問題。規制により犯罪が認知されるため、増えるように見えるが、しばらくすると減少すると思う」と述べた。
  カジノ設置により外に雇用を求めなくなり、結果として家族のきずなが強まったとするスピルディ氏の報告に対し、糸数氏は「ただでさえ夜型社会の沖縄で、カジノが家族の融和をもたらすものにつながるのか疑問。家庭回帰が先決だ」と沖縄の社会構造にカジノはそぐわないとし、経済面からみても「日本各地で公営ギャンブル場が地域財政を圧迫している」と指摘した。
  コーディネーターの小浜氏は「沖縄観光の質を高めていく意識が非常に重要。マイナス、プラスの両面をバックデータを積み、科学的に議論することが必要だ」と、今後さらに議論を深めていく必要性を提起し結んだ。
 


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