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[連載]新局面の「普天間」・リーフ上埋め立て決定(8) 2002年8月11日 
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  普天間飛行場の代替施設の基本構想が、リーフ上の埋め立てに決まり、環境保護の専門家は、特別天然記念物・ジュゴンを絶滅のふちに追いやり、藻場、さんご礁が息づく豊かな自然への深刻な影響は避けられないとの見方で一致している。
 
 ◆潮流を遮断
 
  「決定案は、リーフそのものを完全に埋めるもので、周辺のさんご礁も消滅してしまう。潮流を遮断し、リーフ内の藻場も恐らくだめになる。選択として最悪だ」
  山里清・日本さんご礁学会長(名桜大教授)はリーフ上埋め立てにより、周辺海域のさんご礁、藻場が大規模に失われると警告する。
  「辺野古沿岸を含めた本島北部のさんご礁は多くの生物と共生し、豊かな環境を保ってきた」と指摘。国際的なさんご礁研究者の目を沖縄に向ける必要性があるとする。
  2004年夏には、「国際さんご礁シンポジウム」の沖縄開催が決まっている。山里会長は「沖縄に結集する世界の専門家の目に、あの豊かなさんご礁を危険にさらす選択がどう映るのか。インパクトは大きいだろう」と見通した。
  「普天間飛行場移設のことはよく知らない。日米の専門家がよく分析すべきだと思う」。今年6月、米ワシントンの国防総省。国外の米軍基地の環境保全を担当する当局者は、普天間飛行場の代替基地周辺のジュゴン保護に関する質問に、二度、「よく知らない」と答え、米政府の環境問題への関心の薄さをのぞかせた。
 
 ◆米国世論も焦点
 
  在沖海兵隊の北部訓練場の環境保全計画策定に携わったハワイ大学のケネス・カネシロ自然保護研究センター長に、「ジュゴンが生息する海域に基地が造られる計画が広く伝わると、米国内で厳しい世論が噴き出すのではないか」という質問をぶつけると、慎重に言葉を選んで答えた。
  「おっしゃる通りだ。米国の一般大衆は反対するのではないか」
  米国の種の保存法に基づき、ジュゴンの保護を求める訴えを米連邦地裁に起こす「自然の権利基金」の籠橋隆明弁護士は「辺野古海域への移設自体、世界の自然保護の潮流に逆行する。広大な埋め立てで生息するジュゴンは絶滅してしまう。米本国なら、絶対に造れない基地だ」と言い切り、提訴の機は熟したとみる。本年中にも始まる環境アセスメントへの監視を強めつつ、米国世論に、移設計画の「危険性」を訴える考えだ。
  移設問題にかかわってきた防衛関係筋は「政府は環境に極力配慮してきた。だが、新石垣空港の事例をみても分かるように、環境問題は鬼門だ。進め方を誤ると流れが一変しかねない」と話し、環境問題の比重の大きさを指摘した。
  辺野古沿岸のジュゴン保護を求め、国際自然保護連合(IUCN)と国連環境計画(UNEP)は日本政府に勧告を突き付けている。軍事基地が及ぼす環境破壊に対する国際世論が厳しさを増す中、環境問題は移設の成否を左右するトゲとなる。国、県、名護市は厳しい対応を迫られる。
  (編集委員・松元剛)
 


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