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[連載]11けたの裏側・住基ネット稼働(下) 2002年8月5日 
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  「民間業者への委託料が高すぎる」。人口約2000人の伊是名村の担当者がつぶやいた。同村は昨年度と本年度で住基ネットのために約600万円をかけた。担当者は「村内の利用は少ないだろう。本島にいる村民は住民票郵送の必要がなくなるので便利になるかもしれない」と語るが、住民票の郵送は月数件しかない。
  来年予定されている住基ネットの2次稼働以降、希望者は1000円程度で持てる住民基本台帳カード(住基カード)を使えば、居住地以外で住民票の写しをもらえる。
  「引っ越しの手続きが転入先の自治体だけで済む」というのが利便性を訴える国の言い分だが、転出した自治体に「引っ越した」と知らせる手紙を送らないといけないことは、知られていない。さらに、転入先で新しいカードを作り直す煩雑さがある。
  浦添市の担当者は「2次稼働にならないとメリットは少ない」と話す。住基カードには、市町村の条例で独自の情報を加えることが可能だ。浦添市は印鑑登録証明書などを自動交付機で取れる「てだカード」を200円で発行している。市民の利用率は高い。担当者は「住基カードにてだカードの情報を組み込んで1枚にすることも可能。住基カードの需要は、市独自の情報をどれだけ盛り込めるかにかかっている」と話し、独自情報を盛り込む方法を自治体側が考えないと普及は難しいとみる。同市は年度末に住基カードの予算を組むが、需要が少ないと単価は高く付く。読めない数字に担当者は懸念を募らせている。
  琉球新報社の県内の全市町村調査によると、住基ネットにかけた予算は「500万円以上1000万円未満」が22自治体で最多。2000万円以上は12自治体に上る。
  民間委託や機器の一部買い取りで経費が「5000万円以上」の豊見城市はさらに予算が膨らみ、9月補正を組むことを検討している。担当者は「財政当局は、できるところは民間業者に任せずに自分たちで担えと言うが、専門部署はない。民間業者へ任さざるを得ない」と実情を明かす。
  多くの市町村で「民間委託は予算がかさむが、市町村には対応できる人手も組織も乏しい。国主導の住基ネット整備に合わせ、予算をこれほど注いでいいのか。国は費用を地方交付税で返すというが、半分も戻ってくるか」(本島中部の自治体)という国への不信感が増幅している。
  費用対効果が不透明なまま、国が整備に400億円の巨費を投じた住基ネットがきょう動きだす。
 (社会部・国吉美千代)
 


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