一定の領土とそこに住む人民から成り立ち、主権による統治組織を持つ社会集団を「国家」と言う。その国家を、外敵から防ぎ守るのが「国防」だとすれば、国家の根幹を成す人々の意向を疎んじる手法は、とても国防とは言えまい。
米軍普天間飛行場の代替基地建設問題を見ていて、そんな思いを強くする。政府は、今のような強引なやり方で、県民を納得させることができるとでも考えているのだろうか。納得しなくても、突き進むしかないと考えているとしたら、なおさら問題だ。禍根を残すことになろう。
日米両政府は、同飛行場機能の名護市辺野古沖への移設が無理だと分かった時点で、県民大多数の意向である「県外・海外移設」を真剣に検討すべきであった。
それなのに政府は、意向をないがしろにし、変更の範囲を辺野古地域に限定する強行策に出た。最近では、辺野古のキャンプ・シュワブ沿岸部での「微修正」をめぐる協議に、問題が矮小(わいしょう)化されてしまっている。
25、26両日の額賀福志郎防衛庁長官と島袋吉和名護市長との会談も、滑走路の向きを反時計回りに約1○度変更という政府が示した案を、名護市側が受け入れるかどうかが焦点とされた。
名護市側がなお難色を示したのは当然といえ、枝葉末節の論議に巻き込まれないようにしたい。政府の「土俵」に上がることなく、小手先の手法は通用しないことを知らしめてほしい。
普天間移設問題で、小泉純一郎首相は「基本的な考え方を修正する気はない」と繰り返している。防衛庁幹部からは「(地元に)一つ譲ると『もう一つ譲れ』と必ずなる」との警戒の声が漏れる。どちらも政府の本音であろう。
県民の願いは「もう一つ譲れ」ではなく、命の危険にさらされることのない「穏やかな暮らし」の実現である。ここで政府が決着を急ぎ、名護市に修正案を押し付けたとしても、いつの日か破たんしよう。問題解決には「県外・海外移設」の検討が近道であることを政府はもっと認識すべきだ。
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