外務省の対応は「事なかれ主義」と言うほかない。米国を弁護し代弁する出先機関、と非難されても返す言葉はないだろう。北谷町美浜の衣料品店で起きた窃盗容疑事件で、在沖米海兵隊員の息子2人の身柄を米海兵隊の憲兵隊が拘束し、基地内に連行した問題で外務省は、これ以上問題を悪化させないために火消しに走っているように見える。
この問題は、県警、政府、米軍それぞれの説明が食い違い、複雑な状況を呈している。
それぞれの見解をまとめると次のようになる。まず県警は、「施設外における警察権の行使であり、明らかに地位協定に抵触する」という立場。これに対し政府は「地位協定関連取り決め等で許され得る」という認識だ。
一方、米軍の説明は県警と政府に対するものとで食い違っている。ここに一番の問題がある。
沖縄署が米軍に対して行った質問に対し、米軍は「共同逮捕」での手続きを規定した日米合同委員会合意事項を引用し「共同逮捕」との立場を示していた。その上で、「沖縄署が(合意事項に定められた)最寄りの警察署に連行すると言っていない」とし、これを根拠に合意事項に反しないと強調する意図が見えた。しかし政府に対する説明は、「少年が暴れるので手錠をかけたのであり逮捕ではない」として、逮捕自体を否定した。
米軍は15日、キャンプ瑞慶覧の米海兵隊憲兵隊事務所を訪れた沖縄署員に対して身柄確保は不適切だったと謝罪している。事件当日、店員らが憲兵隊より先に現行犯逮捕(私人逮捕)していること、合意に定められた「最寄りの警察署に連行」せず、基地内に連行したことなど、状況を分析すれば米軍側に非がある筋道が見えてくる。
だが、外務省は17日夜に在日米大使館から入った連絡に納得してしまう。「暴れたから手錠をかけた」という説明である。沖縄署への米軍回答も公表されず、政府内で調整中としてうやむやにされそうだ。
仲井真弘多知事は「合意事項に全く違反している」と明言。県警側からも外務省に対する不満が出ている。このような事件が起きたときにこそ、政府は地位協定の問題点を徹底的に洗い出し、改定に結び付けるべきであるのに、またもや米軍の説明を尊重し「理解」してしまった。
地位協定問題は運用改善でと主張する政府からすれば、違反か否かで問題がこじれれば、立場が苦しくなる。米側の説明は政府にとっても都合がいいのだろう。しかし、このように事をあやふやにして幕を引こうとする姿勢こそが政府不信につながっている。一体どの国の「外務省」なのか。
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