海上自衛隊護衛艦「さざなみ」が24日、自衛隊の艦艇として初めて中国を訪れた。昨年11月に中国海軍のミサイル駆逐艦が初来日したのを受けた日中防衛交流の一環である。
不毛な軍拡競争に陥らないためにも、防衛交流を通して安全保障分野の相互信頼関係を構築することは意義がある。
石破茂防衛相は自衛艦の初訪中で、日中関係強化に弾みがつくことに期待感を示した。
国レベルではそうかもしれない。だが、中国国民の反応は関係強化に程遠いと言わざるを得ない。
自衛艦の訪中は中国国民の感情を刺激した。中国国内のサイトは「何を口実にしようとも、日本軍が中国の土を踏むことに強烈に反対する」など、自衛艦の入港に猛反発する書き込みであふれた。
中国国内では今も旧日本軍に対する怒りがあり、反発は十分予想されたことである。自衛艦の訪中は時期尚早ではなかったか。冷静に分析する必要がある。
「さざなみ」が入港した広東省湛江市の軍港に一般市民は入れず、出迎えたのは地元政府関係者ら数十人だけである。国民感情に配慮した結果とも言えるが、それでも配慮が足りない。
自衛隊は旧日本軍とは違う、と日本が主張しても「さざなみ」の艦上に翻った旧日本軍の「旭日旗」と同じデザインの海自艦旗は、中国国民にとって「侵略」と「屈辱」のシンボルでしかない。
一般市民が入れない場所とはいえ、反日世論を再燃させかねず、慎重さを求めたい。
四川大地震の際、物資輸送支援のために自衛隊機の派遣が可能か、中国政府から打診を受けた日本政府は、中国国内の反発などを理由に派遣を見送った。
「さざなみ」は要請に基づかない被災者への見舞品として毛布や非常用食料を中国側に渡し、自衛隊による初の支援物資輸送となった。
人道支援は重要であり、今後とも推進するべきである。そのような地道な活動を継続することで、中国国民の理解も得られよう。
経済関係では日中とも、互いに欠かせない重要な存在となっている。経済関係の次は、両国政府の協力・協調関係づくりである。
防衛省は自衛隊と人民解放軍による制服同士の信頼醸成を進めるとともに、早ければ今夏に石破防衛相が訪中して防衛交流を加速させたい意向である。
だが、その前にクリアすべき課題がある。歴史問題では、中国と日本で認識の違いがある。まずはその溝を埋めることが成熟した日中関係構築の出発点である。
日中交流は非軍事から始めなければ、両国国民を含めた成熟した友好関係構築は望めない。
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