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労基法改正案 量から質への転換論議を2008年7月1日 
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 長時間労働の抑制をめぐる攻防が与党内で一段落した。焦点は労働基準法の改正。残業代を5割増しとする残業時間を「月60時間超」とする改正案の修正に与党の自民、公明両党が合意した。
 だが、日本経団連は「残業をかえって助長しかねない」と反発している。「割増賃金」狙いの残業増、人件費の負担増への懸念だ。
 経済界に渦巻く反対、懸念の声は勢いを増す気配で、与党合意も吹き飛びかねず予断を許さない。 そもそも、長時間労働の抑制論議が浮上したのは、仕事が原因とされる脳・心臓疾患の発症者や死亡者の増加が背景にある。
 労働団体の調べでは、ここ数年の発症者数は300人前後で推移し、死亡者も過去5年間、150人前後に上る。精神障害の発症者数も年間200人を超え、自殺者も60人を超えている。
 与党は長時間労働抑制措置として労基法改正で「月80時間超」の残業を現行の割増率「25%以上」から「50%以上」に大幅に引き上げる方針を打ち出した。
 だが、公明党はいっそうの抑制を図るべきだとして「月60時間超」への基準の引き下げを主張。自民党も渋々受け入れた。
 連合は「月80時間超」の残業時間自体が労災認定される「過労死ライン」に当たるとして、与党改正案を批判してきた。今回の「月60時間超」の与党合意案でも基本的には「不十分」との認識だが「現状よりはまし」「一歩前進」と受け止めている。
 賃金が伸び悩む中、相次ぐ消費者物価の高騰で実質賃金や購買力が下がり、「残業代なしでは生活が維持できない」との声も高まる。
 日本の平均労働時間はここ数年で短縮傾向だが年1784時間(OECD調査)と、英国の1669時間、ドイツの1436時間に比べはるかに長い。
 時短論議は欧米諸国に比べ半分の水準の最低賃金の引き上げ、先進国中20位と低迷する労働生産性の向上も課題だ。労働の「量から質」への転換を念頭に、労使双方の討議と工夫、国の労働行政の大幅な見直しが求められている。


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