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2008年7月14日

 上映前の騒ぎとは逆に、ナレーションなしで淡々と展開する作品だった。ドキュメンタリー映画「靖国 YASUKUNI」(李纓(りいん)監督)の県内上映が桜坂劇場で始まった。初日の12日は、この種の作品としては異例の約300人が足を運んだ
▼靖国神社を題材にした内容に、自民党の国会議員が問題視し、4月上映予定の映画館が右翼団体の街宣活動などを受けて上映を取りやめ、出演者側や靖国神社がシーンの削除を要求した
▼一時は公開が危ぶまれたが、地域密着型の映画館づくりに取り組む全国の「コミュニティーシネマ」が上映の受け皿になっている。その一つ、桜坂劇場にも4月から上映の問い合わせがあった
▼言論や表現の自由に対する政治介入を許してはならないが、「この程度で上映中止になるのかと拍子抜けした」と首をかしげた右翼関係者の発言を思い出す。山田健太・専修大学准教授(言論法)が指摘するように「波風を立てることを極端に嫌ったり」する風潮が強まり、多様な表現を受け止める余裕を社会がなくしているとしたら心配だ
▼好調な出足について桜坂劇場は「まずは自分の目で見ないことには議論に参加できない、ということではないか」とみる。分かりやすい映画も結構だが、考える映画も必要だ
▼映画は、自由と民主主義の成熟度を映す鏡でもある。


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